2019年開成中学校社会より 豊臣秀吉② 信長のイノベーション

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

豊臣秀吉と言いながら、戦国時代前後の日本中世史を多岐にわたって旅しています。

いや~それにしても百姓、レベル高いですね。
日本のモノづくり、このころから細密技巧が可能でした。
鉄砲を分解して構造を理解するなんて。更に金属の鋳型作って量産できるなんて。結構なモノづくり産業クラスターができていたからなせる業です。

ちなみに中世において、農民=武士でもありました。
上杉謙信と武田信玄が決着がつかずに何回も戦っているのには訳があります。

それは武士=農民だったからです。
そもそも遠征して遠くまで戦いに行かなければならないから時間がかかる。かがり火くらいしかないから夜は戦えない。
待機したり睨み合ったり膠着状態もある。
そのうち、「やばいなそろそろ稲刈りしないとまずいんじゃないか?」となってきて、気がそぞろになってきて戦えなくなってくる。
戦っている間だって食料を大量消費しているわけですよ。来年分の米が取れなくなったら来年戦えないわけですよ。男手はみんな戦争で出てきちゃっていて、満足な働き手が村にいない状態なんですよ。
そうすると、「今年も決着がつかなかったか。また来年!」
とお互い地元に帰っていく。
帰ったら「やべ~早く稲刈りしないと雨が降ったら大変だ!」
と、こないだまで戦争していた武士が農民に。

これが比較的普通だったのだと思います。
武士って非生産者の戦闘員なので、平時には仕事がないんですよ。
セコムと警備員の仕事はあるかもしれないけれども。
そうすると、「いざ鎌倉」の前段階、スタンバイしているときは基本的に農業しながら体を鍛えて戦争待機しているわけです。

この辺りの社会構造が分かっていると、だれが何ができるのか、どう動くのか、何が問題だったのか、が分かります。

この戦国時代中期の状況を打破したのが織田信長でした。

■織田信長の軍隊イノベーション
織田信長はいろんな点で画期的な取り組みをしました。
経済政策では楽市楽座を作って特権階級や利益集団による市場の独占を排除し、誰でもわいわい物を売ってよいという、市場振興政策を実施。市場まで来れるように関所撤廃もしました。これによって市場は賑わいを見せます。
ちなみにこの政策、信長が天才だったわけではなく、六角氏や今川氏が過去にやっていた政策でした。。笑
実は人マネです。

信長は農業重視ではなく、商業重視にシフトした、という点では地方で政権を取っていた武将とは異なっていたかもしれませんね。

そんな彼が戦争において実施した変革は、
常備軍を作った事でした。専業の職能武士ですね。
さっきの話したように、これまでは基本的に半農半武士でした。
「武田の最強騎馬軍団」と言いながらも、「今頃米が実った頃かなぁ。虫に食われてないかなぁ」と気にしながら戦っていたわけです。現金貨幣が力を持つなんてもっと後の時代で、それこそ命を支えるのに農業は貨幣なんかより大切なんです。

しかし信長は、そんな状態から武士を解き放った。いくさで出向く武士に給料を与え、戦闘に特化した軍事集団を形成していきました。これは給料のコスト以外はメリットだらけです。
①戦闘能力に特化できる
②随時鍛え、農作業の時期にとらわれずに戦える
③給料で物を買うため、貨幣経済を促進できる。

これはしばらく前の、「たまに戦争していた状態」から、「常時戦っている状態」に情勢が変化した結果ともいえます。それなら給料出してでも戦闘に特化しないと、国が滅びたら元も子もないですからね。
信長は労務問題から戦闘方法、準備体制を変えたのでした。

もう一つの変革は、有名な鉄砲隊です。
長篠の合戦で武田の騎馬軍団を壊滅状態に追い込んだ。
これはものすごく大きな転換点なんです。

当時の鉄砲は弾込めにものすごい時間がかかり、1発打つのに相当な待ち時間が発生しました。そのため3人1組にし、弾を打った後、他の人が2人打っている間に弾込めする戦術を取りました。
これが鉄砲の弱点を補う画期的な方法でした。

当時の武田の騎馬軍団は間違いなく最強。
めちゃくちゃ強かった。
武田二十四将という部下達もいましたが、正直そんじょそこらの武将よりも強かった武将もいました。二十四将のうち3人は真田氏です。そんな一騎当千の武将ぞろいだったのですが、途中で武田信玄が病死。
息子の武田勝頼が戦功を焦ったのでしょう。部下の静止も振り切り、信長との戦いに踏み切りました。
ここで踏みとどまり、状況を見ながら戦えばもっと力を温存することもできたかもしれません。長篠の戦で主たる武将も失い、壊滅的な打撃を受けました。

逆に信長は、それほどまでに画期的な戦闘スタイルを用いて、鉄砲の有用性を一気に高めたのでした。

武田二十四将図

戦国時代

Posted by rekitabipapa