2019年桜蔭中学校社会①より 江戸時代の海外情勢② 徳川幕府の海外政策
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。
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日本は戦国時代が終わり、太平の世が始まりましたが、世界情勢はむしろアジア受難の時代に突入していきました。
そして沈まぬ国と思われたスペインがオランダ・イギリスの新勢力と立場を変えていきます。
奢れる者も久しからず。ただ春の世の夢のごとし。
平家物語ですね。
■徳川幕府の海外政策
それにしても家康の海外政策の知見、ハンパないです。
戦国時代は命がけだからこそ、こうした先の先を読む知性が発達するのでしょうか。
豊臣秀吉のカトリック勢力に対する処置も素晴らしかったですが、家康が江戸幕府を作り、その先260年の太平の世を作り出すのですが、時代の先読みとこの初期設定が生きてきたからこそ、日本は植民地にならなかったといえます。本当にありがとう。秀吉、家康公。
日光東照宮にお参りに行きます笑
さて、徳川幕府が成立してからの対外的なお付き合いですが、まずカトリック勢力のスペイン・ポルトガルとはお付き合いをやめます。なぜかというとカトリックを布教してくるからです。
秀吉のところで触れましたが、カトリックと付き合って布教が進むことは、政権転覆を試みる勢力を常に抱えることになります。これを断つ。重要ですね。
ちなみに、戦国時代には「マリア信仰」という形で広まりました。
あれあれ？おかしいですね。カトリックは神と精霊とイエスの三位一体説を唱え、偶像崇拝を禁止していたはずなのにどこからマリアが出てきたのでしょう。カトリックは布教しやすいようにアジアではマリアを使って偶像崇拝していたのでした。イエズス会はとても柔軟性のある宗派で、現地情勢に合わせて変えていました。日本人が意外と見た目で判断するので立派な僧衣にし、わかりやすくマリアを使います。フランシスコ派はまじめに清貧を貫きボロボロの格好で布教していたので相手にされませんでした。
聖母マリア。
これは観音様とある意味神仏習合してるのです笑
現在でもいきなりドカン！とどでかいマリア観音に出くわすことがありませんか？熱海、福島などなど、日本の各地にあるのですが、江戸時代に浄土宗がキリスト教徒を吸収しました。
踏み絵などでキリスト教とを排除するとともに、寺に管理させる方針にしたんですね。元キリスト教徒の寺管理。阿弥陀様にしておけと。日本にキリスト教は入ってこなかった、ということは全くないですが、またまたジャパナイズしていっていいところのみ残っているのではないか、と思います。
更に脱線ですが、19世紀にニーチェが『アンチ・キリスト（キリスト教徒は邪教です！）』という本を書いていますが、だいぶ本質的で面白い哲学書です。大学に入ったら読んでみてください。この本で「神は死んだ」と言われ、人の精神を隷属化し弱体化させるキリスト教を自文化の中で否定しました。ここから科学全盛期が来るのですが、日本では江戸時代にキリスト教が入ってこないように管理します。日本人は平和でお人よしですからね。警戒心なく何でも受け入れていい宗教ではない、というのがこの時代の状況でした。（本来的には平和を望まない宗教なんてどこにもないんですがね。。）
さて、海外とのお付き合いに話を戻すと、日本は中国とオランダのみ付き合うことにしました。（1639年ポルトガル船来航禁止まで、幕府成立後もしばらく付き合いはありました）
中国は前からの付き合いがあり、莫大な利益を生み出すので維持。
オランダはプロテスタントの国で布教してこないんです。そうすればアジア、ヨーロッパの2地域から情報と産物を仕入れることができます。
交流も長崎の出島に絞ることで管理できる。
これは良くも悪くも欧州文化に染まってしまった長崎であれば通訳もいれば海外文化が分かっていて接待できるためでした。
長崎が日本の外交最先端になりました。江戸幕府にとっても重要な外交方の部門になります。
幕末でも吉田松陰は海外情勢を求めて長崎に「留学」に行っていますね。
幕府はカトリックであるポルトガル・スペインの動向を知るため、オランダが入港するたびに情報提供を求めました。これがオランダ風説書（ふうせつがき）です。のちには他の欧州諸国、インド、清国の情報が記載され、重要な海外情報となりました。江戸時代、鎖国していないですね笑
幕末になるともうイギリスがインド、清国を支配し、頻繁に交易しています。1840年にはオランダがアヘン戦争の情勢を知らせた方がいいと思い、オランダ語で制作され、日本語に翻訳されました。（バタヴィア（現在のインドネシア・ジャカルタ）の植民地政庁で作成されたものは別段風説書と呼ばれます）この情報源は中国の英国植民地で発行された英字新聞で、当時でも精度が高かったものと思います。）この頃はかなり海外情報が出回っていて、読むものはたくさんあった状態です。