2019年開成中学校社会①より 上野編②天岩戸物語

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

試験に天手力男命(あまのたぢからのみこと)が出題されるとは。
もはや歴史の範囲を超えている。神話の世界。幅広すぎですね笑
でもこの際いろいろ知っておきましょう!

本日は日本神話の神々。日本の歴史、神話、文化の基礎的部分ですが、
定説とするにはあやふやです。
しかし神話も民族の歴史観や精神性を示しているので重要です。
代表的な神々は知っておいて損はないでしょう。
観光地で神社に行くとき歴史的背景が分かるとお参りが楽しくなります笑

でも話が長くなるので中学生になったら『古事記』現代語訳を読んでください。
因幡の白兎、海彦山彦、ヤマトタケルの物語。
絵本で読んだかもしれませんが、意外と深いんですよ笑

「13歳までに自民族の神話を知らない民族は滅亡する」
          ーアーノルド・トインビー(歴史家)
という話もあるので、受験と少しそれるかもしれないけど個人的にはしっかり一通り知っておいてほしいです。民族の共通の物語を知らないと、民族としての祖先からの系譜が断絶してしまうんです。言語と歴史と神話・文化。「日本」を語る上で死ぬほど重要です。これらがなくなれば、何人でもよくなってしまいますから。

■天手力男命(あまのたぢからのみこと)

彼は結構メジャーな存在です。

天照大神(あまてらすおおみかみ)という太陽神がいましたが、弟が素戔嗚尊(すさのおのみこと)。天界で大暴れした結果、恐れをなして天岩戸(あまのいわと)にひきこもってしまいました。
 すると太陽が出なくなってしまい、他の神々も含めて困ってしまいました。なんとか岩戸から出てくる方法はないか。。。

神話の時代から神様ひきこもり発生。
いつの時代もひきこもり、ニートを社会復帰させるのは苦労しますね。。。

さて、いい案を思いついたのが思兼命(おもいかねのみこと)
女神の 天鈿女命(あめのうずめのみこと)に岩戸の前で踊りを踊らせ、みんなでパーリナイ。
「あれ?外ではなんか楽しそうなことしているんじゃない?」
と思い、ちょっとのぞき見しようとそろりそろりと戸を開けたところ、天手力男命がおら~!と扉をこじ開け、天照大神を引きずり出して外に出しました。
なんという強引な方法。。
とにかく太陽が出てきてめでたしめでたし、というお話です。

この天手力男命、武術の神とされています。

思兼命(おもいかねのみこと)は知性の神であり、
八意思兼神とも書きます。その子天表春命(あまのうわはるのみこと)とともに阿智祝(あちのほうり)の子孫とされています。

天鈿女命(あめのうずめのみこと)は芸能や神事の神とされています。
日本最古の踊り子であり、古代の巫女ですね。

信州戸隠(とがくし)で祭られています。
戸隠神社には天岩戸の扉が投げ捨てられ、届いたとされています。
なんで長野に?突っ込みどころ満載ですが、神話で語られていることは、実際に戸隠まで岩戸が飛んだかどうかは別として、天孫族と戸隠との繋がりを何かしら示しているかと思います。謎解きしたいですね。

戸隠神社は2021年4~5月に7年に1回の大祭があったので出題されるかもしれないですね。
ちなみに2022年4~5月は諏訪大社御柱祭(おんばしらさい)があります。

これがすごい。大木を山から切り出してきて、みんなで担いで山を駆け下るのです。2tトラックが山から落ちてくるような状態なので、たまに死者が出ます。たまに、であることの方がすごい。死者が出る前提でやる、という激しい神事。諏訪には日本の原初形態の神事がまだ残っています。
受験が終わったらぜひ見に行ってください。
おそらく何が何でもやります笑
それが諏訪魂。

ちなみにこれは歴旅説ですが、日本における●●神というのはある程度実在の人物なのではないかと思います(モデルがいるとかそういう意味で)。
キリスト教などのGODではないと思うんですよ。

歴旅説と言いながら、もちろん民俗学研究を踏まえてのことです。
古代日本の民族風習を見ていると、人間=死後は蛇になるという擬態が多くみられるのです。
縄文土器も蛇デザインが多いですね。教科書で見る以上に大量にいろんなデザインがあるので機会があれば是非見てみてください。蛇そのもののデザインも多いんです。
「縄文」って、縄の跡をつけていたわけでなく、蛇のデザインをしていたんですよ。神社の注連縄も藁で編んだ蛇を模したもの。

「かみ」の語源についても、
かみ=か・み=蛇・身
であり、古代日本は出産、葬式の時に蛇に見立てることが多かったからです。禊(みそぎ)というのも体の汚れを落とす、という意味ですが、
みそぎ=身・削ぎ
であり、蛇の脱皮の擬態です。
そして幽霊の頭についてる三角のアレ。名前分からないですが、何なんでしょうねあれ笑
一説によると、蛇の頭を模しており、死後人間は蛇神になる、という話です。
なので「かみ」というのは戒名みたいなものなのだと思います。
禅宗だったら「居士」みたいな。
決してGODではない。(人間を超越した全知全能なるものとかではない)
これは戸隠に行ったときに神道式のお墓があり(初めて見ました)、現代人でも「●●命」(!!)と書いてあったことからの類推です。
当たらずとも遠からず、では?と思っています。

この辺りは文化人類学、民俗学の領域ですが、物証と神社の文献記録が結構残っています。とはいえ全部はわからないので類推も含みます。

神話の時代になると話の方向が文化論になりますね笑
国語で出てくるかもです笑