2019年開成中学校社会①より 上野編④比叡山延暦寺
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
本日は比叡山延暦寺。
きたこれ難しいの。
いや、お寺自体は難しくないんですが、深堀するのが難しいんです。
教理が難解なので。でもまあ教理は試験に出ないと思うので笑
歴史の部分を、今日はさらりと行きます。
■比叡山延暦寺
天台宗最澄が建立したお寺です。平安時代には既に有名なお寺でした。延暦寺に高野山金剛峯寺、戸隠神社を入れて3つの聖域ができていました。戸隠は今でこそ山奥の人里離れたところで知られていないですが、当時は「戸隠三千坊」と呼ばれ、たくさんの修験道、修行者が集まってきた霊場でした。
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空海編でだいぶ話しているのでさらりと行きましょう。比叡山延暦寺の開祖は最澄ですが、密教を導入するにあたって留学でしくじってるわけです。空海の方が長安まで行って本家本元で深いところまで知っちゃってる。密教は実践編があるからお経読んで文献学習だけしていたら本質には到達しない。
それでも現代まで総本山として残り続けているのはすごいですね。
ユネスコ世界文化遺産にも登録されています笑
存続できた理由は、やはり国家権力中枢とピタっと貼りついて加持祈祷をしまくったおかげでしょうね。また、最澄は才能というより人徳が勝るタイプだったのか、弟子をものすごく育てているんです。
天台宗の基礎を築いた円仁、円珍
融通念仏宗の開祖良忍。
浄土宗開祖法然。
浄土真宗開祖親鸞。
臨済宗開祖栄西。
曹洞宗の開祖道元。
日蓮宗開祖日蓮。
源信『往生要集』の著者
慈円『愚管抄』の著者
もうオールスター勢ぞろい!!
名僧輩出しまくり。
これはけっこうすごいことです。これはこれでまねできない才能。
仏教研究者の総本山だったといえそうです。鎌倉仏教としてそれぞれの日本仏教は広まっていきますが、そうした時代に合わせた許容もしていたんですね。
「天台宗じゃなきゃダメだ!」
なんてことは言わなかったんですね。心が広い。
最澄は留学で失敗しましたが、帰国後の仏教の社会化では成功していたといえるでしょう。鎌倉時代になって、ようやく天皇・貴族のためだけではない、一般大衆のための仏教になってきました。
■お寺の機能
既に書いていることからわかるように、もはや総合大学のようなものでした。いろんな人材が古今東西学べる。しかし奈良時代の権力化した仏教と比べると、のちに派生していく日本仏教は実践的、且つ大衆救済に向かっています。
ちなみにお寺というと現在の単なるお坊さんがお経上げているところの認識かもしれませんが、当時は総合大学であり、周辺地域領主です。室町時代には幕府、朝廷に加えて、お寺、神社が独自の裁判権を持っていて、領土も田んぼもあり、ぶっちゃけ「●●藩」くらいの性格を持っています。
織田信長が比叡山延暦寺を攻める時、僧兵が戦うわけですが「お寺軍」もいるわけです。殺生してはいけないのに不思議ですね。日本の歴史には武蔵坊弁慶とか、僧形の怪力坊主が要所要所出てきます。出家したはずなのにバンバン戦争で戦える僧達。
戦国時代でも、越中富山には有力大名が誰もいません。近くに加賀の前田家、越後の上杉家がいて攻めよう落とそうとしますが、ここは寺が大名家の代わりをして統治していました。不思議な地域ですね笑
北条早雲が若い時に学んだのもお寺でしたが、この時のお寺は漢文が読めるから『孫子』、『六韜三略』などの兵法書をガンガン読んでいました。平和を求めるお寺が軍略家総合育成研究所みたいになっていました笑
お寺って何でもありの融通無碍な機能ですね。
現代でももっと保育園、子ども食堂など社会課題でも多岐にわたって活躍してほしいです。
■比叡山スタイルの修行
千日回峰行とかありますが、シンプル。1000日間毎日山歩き(走り)するんです。それで免許皆伝。いや普通につらいですよ?風邪ひいても熱出しても関係なく1000日間毎日20キロ以上山道を走り続けなければならないのですから。2年半もずっと山走ってたら、それは何か悟れてしまうかもしれません。
しかし。やはりちゃんとした仏教の教えなのか?というとオリジナリティ強すぎ、そして結構簡単な気がします。その実践は正しいの?という疑問が残ります。
中国から鑑真が7回も台風に巻き込まれても日本に伝えたかったもの。それは灌頂(かんじょう)という悟りのための儀礼戒律です。
日本の仏教はそんな鑑真がめっちゃ頑張って命を懸けて伝えてくれたものを、
「ありがたや!」
と受け止めたものの、しばらく時間が経つと、
「う~ん、ちょっと真面目にやるには大変だからゆるくしよう」
とばかりに辞めちゃうんです。
戒律なき日本の仏教。
戒律がないってことは、お金大好き、権力大好き、悟りは二の次、現世利益万歳になっていく傾向にあります。
(もちろんまじめなお坊さんも多いですよ!)
・般若湯=お酒を飲んでいい。
・妻帯可能
・うさぎは鳥と同じ1羽、2羽と数えるから食べていい
(耳を羽と見立てている)
・只管(ひたすら)念仏唱えていたら極楽浄土に行ける。
そんなことあるかい!と突っ込みたくなりますが、これが日本仏教。
完璧はないにせよ、ゆるいんです。とても緩い。
ちなみに戸隠神社は天武天皇の時に信濃を副都にする計画があり、善光寺、諏訪大社の神と同様聖域視していました。
残念ながら実現しませんでしたが、権力と距離を持って離れる真面目なところがある意味ちゃんと機能しているのでは、とも思います。
この辺り、お寺には権力者の財が集まりやすいのでどこの国でもバランスが重要なんです。真面目に越したことはないですね笑
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