2019年開成中学校社会①より 上野編⑨奥羽越列藩同盟

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

もうちょっと幕末の顛末に踏み込んでみましょう。

■奥羽越列藩同盟
東北の雄藩である会津藩松平家・米沢藩上杉家・仙台藩伊達家が中心となり奥羽列藩同盟を作ります。

教科書ではこの単語くらいしか書いていないと思いますが、きわどい事実もさらりと触れてみましょう笑

仙台藩
なんとなくとばっちりで巻きこまれたともいえましょう。しかし、そんなこと関係なく、政府軍は財産強奪が目的なので、仙台藩は味方します。奥羽越列藩同盟の背景は、裏目的が新政府樹立のための財産強奪のため、「謝っても許されない」というのが前提です。圧倒的暴力に対して「見せましょう、東北の力」という方向になるのです。
奥羽鎮撫総督《おううちんぶそうとく》という役職に|世良修蔵《せらしゅうぞう》というのが来るのですが、言ってみればヤンキーです。各藩も戦争しないよう説得していました。しかしあまりの傍若無人ぶりに「鎮撫総督とは女を抱くことか!!」とブチ切れ開戦。もともとそれが狙いで送り込まれてきたのだと思います。

焼き討ち、人殺し、挑発→相手にブチ切れさせて手を上げさせる
→開戦→最初に手を出したとして悪役に仕立てる

これが開戦の進め方です。

庄内藩
もう江戸で庄内藩士は薩摩藩邸を焼討ちして一戦交えているので否応なしに参加。

長岡藩
新潟の長岡藩。河合継之助など幕末も優秀な人材がいて善戦しましたがやはり攻め込まれています。新潟は江戸より人口がいたので、日本海交易の情報、物流網もあり、人材が育ちます。世界情勢もわかる。しかし戦争では海岸が長く、船であちこちから攻め込まれてしまいます。

三春藩
福島県三春藩。もともと農民反乱も抑えられない弱小藩なのでどうしようもない。すぐ裏切って東北で新政府軍の水先案内人となります。

二本松藩
同じく福島県二本松藩。
二本松少年隊は14才未満入隊不可なんですが、+2歳で最年少は12歳で戦争へ。最後の一兵卒まで討ち死です。16歳だった会津白虎隊よりも実は悲惨な歴史を持っています。二本松藩は豊臣家臣の上級家老丹羽氏の外様藩でした。外様の小藩とはいえかつての大臣クラス。文化や誇りが培われていたのでしょう。三春藩と同じ弱小藩でも全く違いますね。

秋田藩
地理的に重要な秋田県。最終的に秋田藩が裏切り裏から突かれる形になります。秋田の佐竹氏は江戸初期から徳川家に恨みを持っていたんですね。江戸初期に移封で秋田まで飛ばされたんです。

全体としてはトップは戦争が始まらないように調整していたんですが聞く耳持たず、現場で戦争が始まってしまいました。
各藩はそれぞれ事情があり地理的環境だけでは一枚岩になりませんでした。

東北は外部から脅かされるとき、ときおり独立国家の顔を見せます。平安時代の蝦夷、奥州藤原氏、あるいは東日本大震災もそうかもしれません。外部、内部的に「日本」という意識より「東北」意識が強くなる。

奥羽越列藩同盟は実は皇室も担いで独立する勢いでした。
北白川宮能久親王《きたしらかわのみやよしひさしんのう》。
この時のことをアメリカ公使も「今、日本には二人の帝(ミカド)がいる。現在、北方政権の方が優勢である」と伝えており、アメリカの新聞にも記事が載っています。戊辰戦争。実態はガチな南北戦争でした。

■碧血碑@函館
戊辰戦争、いろいろぶっ飛ばしていくと、函館戦争を持って終結します。
新選組の近藤勇、土方歳三、斎藤一などなど、歴戦の猛者も江戸から転戦しながら北上していきます。

近藤勇は千葉の流山で斬首。
齋藤一は会津戦争で戦い、そのまま明治まで残ります。
土方歳三は北海道函館まで転戦し討ち死。

圧倒的な軍備の差がありながら最後まで追い詰めていく新政府軍。
日本の国力を落とさないために降伏した徳川慶喜の願いとは裏腹に、長い戦争が繰り広げられ、函館の地で終焉。

そこには|碧血碑《へっけつひ》というものがあります。
現在は軽くミステリースポットになっているようですが、当時の幕府軍の死者がまつられているところです。
忠義を貫いた者の血は碧い。という昔の言い伝えが由来です。

戦争において正義はどちらにもあります。
侵略される側からすればすべて聖戦です。
侵略する側からすればどんな悪逆非道なことをしても勝てば正義。

極限の時に人はその本性が出てきます。
自分が当事者だったらどう生きるのか?

歴旅のじいちゃん世代は太平洋戦争を戦った。
そのおじいちゃんはこの幕末の時代を生きていた。

そう考えると、歴史って意外と最近の事なんです。

おカネ、名誉、軍功、達成感、地位のために戦争する人。
国の安全、大儀、忠義、仲間や家族を守る人。
すぐ降参する人。裏切る人。子孫のために負けるとわかってても戦う人。
名誉もいらない、おカネもいらない人。

どう死ぬか=どう生きるか
です。
自分が戦時に直面したら、どのように生きるでしょうか。

私達が毎日過ごしている、ご飯も寝るところにも困らないとても普通の毎日は、この平和な社会は、じいちゃん世代の命の上に成り立っています。