2019年開成中学校社会①より 上野編⑪大正時代の世界情勢

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

上野を起点とした設問ですが、全然上野だけの設問ではないですね笑
要するに日本の歴史を全時代カバーしている必要があります。
単語を覚えていないといけないことも多いですが、結構理由や時代の転換点の理由なども聞かれていますね。
今日はちょっと新しめの大正時代。
世界は、日本はどうだったのでしょうか?


■東京大震災前後の世相
時代は大正時代。だいぶ現代に繋がってきましたね。歴旅のおじいちゃん世代は大正生まれです。
この頃の人達には強いシンパシーを感じます。
なぜなら今と時代背景が似ているから。
子供の頃はバブル。そして戦争へ突入していくのでした。


1904年の日露戦争に勝利した日本は、対ロシアから十分な戦後賠償を得られなかったものの、世界中に衝撃を与えました。
「有色人種が白人を倒せるんだ!!」
という概念には、長年植民地として虐げられていたアジア・アフリカ中の民族の希望となり、決起するのに十分な出来事でした。
もう世界中大フィーバー!!もう根底から世界観が変わる出来事でした。

この前後から、日本は前からあった
①アジア独立主義 と ②遅れた帝国主義
という二面性を持ちます。但し、②については西欧とは異なる性格を持つため、詳細に踏み込む必要があります。でも長くなるのでまた今度。

日露戦争自体はたいして戦後賠償が取れない、犠牲の多い戦争でした。アメリカの斡旋でポーツマス条約により講和しました。
日本は朝鮮半島での権益が認められ、樺太の南半分を割譲。大連と旅順の租借権を獲得。旅順―長春間支線の租借権も手に入れましたが、賠償金を直接得ることができず、戦った人達にすぐに報いることができなかったのでした。
その後日本はアジアで順調にリーダーシップを発揮していきます。


そして1914年、欧州では第一次世界大戦がはじまります。
この頃はオーストリア=ハンガリー二重帝国がありましたが、オーストリア皇太子フランツ・フェルディナント・フォン・エスターライヒエステが夫妻共々秘密結社ブラックハンドのセルビア青年に打たれる事件から戦争に発展します。サラエボ事件です。
 
ヨーロッパの火薬庫と呼ばれるバルカン半島。いろんな民族が渦巻いており、大国に挟まれ、歴史的に何回も支配され、支配仕返しということを繰り返してきました。

しかしなんで1国の皇太子が殺されるだけで多くの国を巻き込んだ戦争になるのでしょう?

ここでは奥さんのゾフィの出自が関係してきます。
もともとフランツ・フェルディナントは皇位継承権がない状態でしたが、他の皇太子が謎の死を遂げると急にお鉢が回ってきました。当時恋をしていたゾフィはチェコ人でした。スラブ系ですね。身分差がある中結婚に踏み切ったのですが、皇族や公式な場で一緒に居てはいけないという条件でした。これって人前でイチャイチャしちゃダメ、ということではないのです。当時欧州の公式な儀式、会議は夫婦で出るのがフォーマル。しかしそれを禁じられた状態でした。

 ゾフィはスラブ系ですが、結果的にロシアを中心とした汎スラブ主義がありました。オーストリアはゲルマン系。
当時のバルカン半島情勢は、オスマントルコが衰退していなくなり、クリミア戦争でロシアも負けて引いていた状態でした。しかしスラブ系の連帯はある中、オーストリアがたまたま国恥記念日に皇太子が凱旋に来た。新しいゲルマン勢力が入り込んできたことに対してキレてしまったんでしょうね。
ここでオーストリアはセルビアに宣戦布告。セルビアと同じスラブ系のロシアが支援。当時の三国同盟(ドイツ・オーストリア・オスマントルコ)VS三国協商(ロシア、イギリス、フランス)
の戦いへと発展していきます。

日本は日英同盟を結んでいたので、イギリスの支援目的で参戦します。
しかし、当時の日本、頑張って欧州まで行って全力で応援するなんてことはせず、アジアでドイツの山東省利権を奪い取ったり、太平洋での島々を攻めたり、ちょこちょこした動きを見せます。

ロシアを裏から攻めてくれればいいのに。。。

とイギリスは思ったでしょうね。
しかし日本は労力を割きたくなかったのか、参戦しても遠い欧州での出来事なので利益がないと思ったのか、大したことはしませんでした。これによりバブルです。武器も食料も希少品も何でも売れる。
更に中国権益を手に入れ始めました。
ここから同盟国だったイギリスの不信が高まっていきます。
ドイツも実は裏では山東省権益の恨みがあります。
のちにナチスと手を組んで連合国と戦うのですが、日本人は自分がやったことを忘れて相手を信じすぎるところがあります。
ドイツ人、親日だけではないです。

この辺りから徐々に日本が国際情勢の中で追い込まれて行くのでした。
日本はたまに、こういう信義に❘悖≪もと≫る行動をします。
西欧的価値観からすると契約不履行は神の意志に背く行為ですね。
この辺りから日本は次第に国際的孤立を仕掛けられていきます。