2018年開成中学校社会①より 近現代史 ガイダンス

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

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先生:そう。当時の国際情勢って、具体的にいうとどういうことかな?
A君:東西冷戦ですか。

先生:そのとおり。当時、日本はアメリカなどとともに西側陣営に属していたから、それらの国々と歩調を合わせる形で、1979年のソ連による(⑩)侵攻に反発して、モスクワ大会からボイコットしたんだ。

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オリンピック問題ですね。2021年にオリンピックが終わってしまったので、オリンピックの切り口は出ないと思いますが、もちろん個々の出題は広範な歴史になっています。
問題は古代まで引っ張ってきていますが、近現代の世界情勢を中心に取り上げます。近現代史は地域も幅も、時間軸も細かくなり、因果関係が詳細になってきます。ガイダンスは試験と直接関係ないかもしれませんが、意味を理解することで吸収効率がよくなります。

■近現代史の意味
 日本の学校の歴史教育において、近現代史がかなり薄くなっています。中学校でも高校でも、近現代から現代に繋がるところまで学べるかというと、やっているところはほとんどないのではないでしょうか。というかカリキュラムの時間的に到達できない。教えているならいい学校だと思います。
歴旅の高校は県立なのに先生が幕末から始めていました。(公立でそんなカリキュラム許されたのか?はわからないですが笑)幕末からでも1年終わってしまうのです。近現代史は情報が残っている分、事実と因果関係が比較的詳細にわかります。
 乱暴な言い方をすると、「日本人全般が学ぶ歴史」という意味では縄文時代より近現代史の方が重要です。(歴旅は縄文文化だけで1冊本を書いておりますが…縄文も大事ですよ笑)

なぜか。
現在の社会構造と直接繋がっているからです。本来歴史は昔の話を学ぶ趣味の学問ではありません。西洋では帝王学の一部です。
イギリスでは哲学と歴史を学ぶ人の方が、経済学や株価の分析チャート作っている人よりも給料もポジションも高い。中国社会も本質的には「歴史教」でしょう。そこに書き記されることのために人生を費やしていく。先祖崇拝も強く祖先を大事にする。記録を全部取っていることも含めて、自分の生き方が歴史に刻まれるのが分かっています。「中国の宗教は歴史だ」というのは小室直樹という社会学者の論ですが、言い得て妙です。中国では法家思想、儒教などは支配体制のための道具。道教などもありますが、信じていて人生を賭けるというよりもおまじない、ゲン担ぎの位置づけ。人生観を形成し、教えを多く含み、それに準じて生きる概念としては、中国社会では歴史がその役割を果たします。こうなると古代から自分自身の生き方までつながってますね。そしてそれが有効であることが分かっているのでしょう。

日本においても歴史は今の自分達が置かれている社会、民族、世界との関係を把握し、そこに至った因果関係を学ぶものです。
また、民族という観点では、正直500年以上前になると、自分とどこまで繋がっているかというのがかなり遠くなってしまいます。天皇家や歴旅のお友達の公家さんは平安時代まで家系図で血筋が辿れるのですが、一部の公家、武家以外はそんなに辿れることはないでしょう。
辿れなくてもいいんです。でも、それだけつながっている大切さ、遥か昔から繋がっているという感覚が重要です。皆さんが生まれてくるには、お父さんとお母さんが出会う必要があります。そのお父さんお母さんはおじいちゃん、おばあちゃんの出会いがありました。
7世代、ざっくり200年前江戸後期まで辿ると128人の出会いと愛情がなければ、今の自分達は生まれてこないんです。

歴史は現代の自分達と繋がっている、生きている学問です。
その中では近現代史はめちゃくちゃ近い。具体的なおじいちゃん、あるいはおじいちゃんのおじいちゃんくらいの時代に起きたことで、今の自分に繋がっていることです。大人になって、仕事を選ぶときには会社の組織そのものが繋がっているかもしれません。海外では具体的に地域、組織などで歴史を引き継いでいる場合も多いです。日本の歴史は、大人になっても忘れなければ結構海外に行っても話が通じるし役に立ちます。高校生になったら是非世界史を選択してください。(それを英語、中国語、ロシア語、アラビア語などで話してね笑)

さて、それでは本題の近現代史、日本では明治以降に入っていきましょう!!全部やったら大変なことになるので時間軸密度はたまに飛びます!