2018年開成中学校社会①より 近現代史  朝鮮併合①

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

再び朝鮮半島に戻ってきました。日本は朝鮮半島をどうするか問題を常に抱えています。

■朝鮮併合
 これまで日清・日露戦争について触れてきましたが、常に朝鮮半島情勢と連動して起こっています。重要なのでテーマを絞ってじっくり見ていきましょう。朝鮮半島は古代から現代に至るまで、日本にとっては火薬庫です。朝鮮半島国家はバッファステートなので、全方位的に話して利益を引き出そうとするか、外国同士をお互い牽制し合うようにぶつけて危機を回避しようとします。結果半島が戦場になる事が多いのですが、自然の流れでもあり、自分で原因を生み出しているようでもあり、なかなか複雑です。
 逆説的ですが、朝鮮半島が統一されているときはどこかの属国になっているときです。それこそ約500年中国・モンゴルの属国でしたが、華夷秩序の中で安定政権が維持できるからですね。
 
 さて、日清戦争が終わった後、三国干渉露・仏・独が日本が手に入れた遼東半島を諦めさせました。そのあとですが、ロシアがズイズイと李氏朝鮮に寄ってきます。これは李氏朝鮮内の権力闘争が大きく影響してくるのですが、
高宗の妃閔妃がロシア帝国に接近して復権を果たします。
失脚した大院君は日本と結びクーデターを起こして閔妃を殺害。
高宗と閔妃は|事大党《じだいとう》と呼ばれますが、要するに清国かロシア帝国の後ろ盾がないとダメな人達です。開化派は自立志向ですね。変化していくことで自国を強化していこうとします。しかし高宗の下で金弘集(きんこうしゅう:キム・ホンジプ)など優秀な開化派閣僚はクーデターで民衆に撲殺され、その後ロシアは財務省顧問になったり釜山の絶影島に太平洋艦隊の石炭庫基地を要求する事件が起きました。日本からするとレッドゾーンです。燃料基地までできて太平洋艦隊が常駐するようになったら、日本の海は握られ、貿易もできなくなってしまいます。イギリスもロシアが海に出て南下してきたら止めきれなくなります。
日本は1876年江華島事件を経て日朝修好条規を締結しましたが、この時清朝の冊封体制から離脱させるために「朝鮮国は自主の邦にして日本国と平等の権を保有せり」と書いています。(清国は朝鮮を「属邦」としました)しかし内政がぐちゃぐちゃですぐに他国にすり寄り自国権益を渡してでも権力を維持したいという国は、自ら自主権を放棄しているようなものであり、そうなると日本も対応方針を変えざるを得ません。

ちなみにこの内政がぐちゃぐちゃになる原因。改革をすべて否定し過去の体制を好む要因は特権階級として存在している両班ヤンバンという官僚が、民衆から搾取できる利権を放棄しなくてはいけなくなるからです。この頃の李氏朝鮮の民衆はひどい貧困と劣悪な衛生環境で生活していたことは、日本の記録、イギリス人女性イザベラ・バードの『朝鮮紀行』にも描かれています。ごく一部の特権階級だけ豊かであとはスラム。韓国ドラマで歴史物がやってますが、史実を考えると妄想レベルのフィクションです。