2019年渋幕中学校1次社会②より 歴史評価見直し問題⑧ 逆さ日本地図
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日本海側を山陰、裏日本と呼んで久しいですが、歴史的に価値を考え直してみましょう。古代においては出雲、伯耆、高志、因幡が都市を形成していました。これは大陸と繋がる玄関口が日本海側だったことを示しています。太平洋側は古代においては古事記には名前があまり出てきませんが、蝦夷の国と捉えられています。この地域が劣っていたわけではないことは縄文時代の人口分布が関東、東北に偏っていたこと、古代においても伊勢神宮と同時代に千葉県の香取神宮、茨城県の鹿島神宮しかなかったことを考えるとわかるのですが、古代においては長く別文化圏でした。
大和朝廷が奈良、京都など近畿にあるのは瀬戸内海の海運航路と日本列島の中心に近いという地理的要因が大きいですが、天武天皇の時代に街道を作るまでは太平洋側はそれほど繁栄した地域ではありませんでした。江戸も徳川家康が手を付けるまでは広大な湿地帯です。
太平洋側に人口が集まっていくのは横浜港ができ、太平洋航路で欧米と貿易をし始めたからであり、戦後の対米貿易で鉄鋼や自動車など重科学工業製品を輸出するのに便利だったからです。太平洋ベルトと呼ばれる工業地帯ができ、現在に至ります。
江戸時代に江戸は世界有数の百万都市でしたが、新潟は江戸よりも人口が多く、加賀百万石を支えた北前船貿易の方が海上交易が盛んでした。戦前も富山、石川出身者が多くの企業、財閥を生み出しています。
現代でも地理的要因は変わりません。中国、ロシア、北朝鮮と対峙しているのは日本海側であり、拉致事件が日本海側で起こっているのもわかります。また、現在では日本の守りは日本海側の重要性が高まっています。中国、ロシアだったら？日本海側にひっそり基地を建設したいですね。
東南アジアでは中国が南沙諸島を実効支配している事でベトナム、フィリピンの軍事費が激増しています。海底に潜水艦基地を作っているのですが、日本海は大丈夫か。太平洋側よりも日本海側に注目しなければならない時代かもしれません
中国ロシアから見ると日本が海を蓋しているのが分かります。日本にとって台湾のシーレーンは重要ですが、中露から見ると宗谷海峡、津軽海峡、対馬の重要性が分かります。こうしてみると尖閣諸島にも来る理由が分かりますね。