2019年渋幕中学校1次社会②より 歴史評価見直し問題⑩ 国風文化
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
これまで日本は中国、朝鮮半島から様々なものを学んでいった、という文脈が主流かと思います。しかしそれは本当でしょうか。
これまでは遣唐使を廃止してから日本独自の国風文化に向かっていったと考えられていましたが、藤原良相が遣唐使廃止以前からひらがなを使っていたことが邸宅跡の発掘からわかりました。2012年にひらがなが墨書された土器が発見され、女性が書くものとされていた従来の説が覆されています。
藤原良相は813~867年の人物です。遣唐使が廃止されたのが894年。それ以前からひらがなは開発され、使われていたことが分かります。わりと最近の発見です。
『古事記』も漢字を大和言葉の音読みで表現しており、漢文表記の『日本書紀』とは別です。大和言葉をずっと漢字で当て続けるのは逆に不便だったのではないでしょうか。一流の文化人が集うサロンだったと考えられる良相邸跡のため、和歌をさっと私的に記すのに用いたと考えられています。
「文化を教えてもらった」ということに関しては、半分当たり、半分間違いだと思います。来た文化をただ受け入れず、咀嚼、改良し、独自のものに変化しています。
例えば日本は儒教を取り入れましたが、中国・朝鮮では「孝」「忠」の優先順位になります。血筋や親に対して、祖先に対しての礼節敬意が最重要。これを突き詰めていくと、門閥、学閥が発生し、ファミリービジネスによる貧富の格差が生じます。これに対し日本は「忠」「孝」の順にしました。公を大切にすることでより平等な社会にしようとしたのでした。
仏教についてもお盆は仏教文化ではありません。お盆の由来は盂蘭盆会とされますが、現世から解脱してニルヴァーナ(涅槃)に至るのをゴールにしているのに、お盆と正月に祖霊は毎年帰ってきます。これも日本の独自の死生観を反映したものであり仏教が定着しきったか、という点では、ジャパナイズした痕跡の方が強く出ます。仏教儒教における経典は海外から持ち帰ったものですが、いいところは取り入れ、悪いところは改善しています。
宮中音楽、お正月神社で流れる雅楽も不思議です。とても日本的なものと感じている人が多いと思いますが、実は高麗楽と唐楽に分かれています。左右で二系統あり、高麗楽は高麗(高句麗)伝来の音楽、唐学は中国伝来(+α)です。高麗楽は平安時代に新羅、百済の調べを合わせているのに対し、唐学は吐羅楽(不明)、林邑楽(ベトナム)を含み、渤海使の饗応では東国、隼人の調べも演奏されています。雅楽中だけで「世界」が表現されています。唐楽が主流ではありますが、多様な調べを統合しています。
ひらがなも漢字をもとにしつつ、苦心してジャパナイズし使いやすくしたのですね。
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