2019年渋幕中学校1次社会②より 歴史評価見直し問題⑪ 米騒動

5月 5, 2023

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

問題です。1石は何升でしょうか?

 米の買い占めと米よこせ運動。同じ単語ですが、何度も起こっています。
1918年の米騒動は米どころの富山県で起きました。魚津町で米価が高騰するのは米を他地方に移出するからだとし、漁民の妻女らが46人、移出する船を阻止しようとして海岸に集合したところ、警察に解散させられました。細民(貧しい人達)が市役所に押し掛け、米商店を歴訪し窮状を訴えた記録が残っています。この事態が伝播し1,000名規模に発展。昔は肉はほとんど食べておらず、食事は穀類に偏っていたため米価は影響が大きかったんですね。
 戦国時代にも女一揆を起こした地域であり、富山県は女性が強い県。この騒動から共産主義者は労働者階級闘争として分析しましたが、近年の研究では実際は陸仲仕(おかなかし:陸地で船に荷物を積込む海運・荷役労働者)から発生していることが分かり、従来の定説から見直しを迫られています。また、富山の事件よりも2-3カ月早い兵庫県の播磨造船所では、「食料高騰の中で待遇の悪さに起こった労働者数百名がラッパを合図に事務所・食堂・炊事場を襲撃して器物・建物を破壊した」という事実も掘り起こされています。

大坂堂島の米市場の記録では、
1918年1月15円/石→6月20円/石→7月30円/石
と異常事態が発生。(当時の一般社会人の月収が18~25円)各地の米取引所では立ち合い中止が相次ぎ、地方からコメの出回りが減少。8月は1升50銭に暴騰しています。普通の月収で米が買えないレベル。餓死します。

資本主義自体は前からありましたが、急速にインフレが起き、社会不安が増大しています。この時は米穀投機が原因で、売り惜しみ、買い占めが発生しました。暴利取締令の「暴利」から「暴る」「ぼったくる」という言葉が生まれました。更に1918年8月にはシベリア出兵を始めます。これによって政府が米を買うと見込んで更に急騰。騒動は全国的に広がり商店の打ちこわしが始まりました。東京では反ブルジョア(金持ち)的性格を見せ、富山が主婦中心だったのに対し東京の暴動の担い手は若年層男性でした。
騒動は炭鉱騒動へと飛び火。出動した軍隊に対してダイナマイトで対抗。遊郭や米問屋に放火。軍隊でも暴動があり、一部の地域では抑止すべき警察が黙認しました。同情しますよね、そりゃ。。

米騒動の影響を受けて世論は寺内正毅内閣の退陣を要求。こうして爵位を持たない衆議院議員である原敬が就任。「平民宰相」と呼ばれました。
民衆暴動はなぜ発生するのか。どう対処すべきなのか。軍と警察が機能し亡くなったら金持ち、エリートは基本殺されます。フランス革命を見ると、「王殺し=民主主義」ですね。
歴史は為政者が作りますが、それは常に民のために、大衆のためになっていなければ暴動の対象になります。
大衆暴動史、大衆思想史は重要です。フランス革命史、民主主義、共産主義、社会主義研究などに密接に関わってきます。

答えは5000銭=50円/石。
   ※100升。1石=10斗。1斗=10升。1円=100銭。