2018年豊島岡中学校第1回社会より 空海⑤ 出身と前半生

どうも。歴旅です。
今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

いや~仏教編。
空海にたどりつくまでにかなり長旅しました笑

そろそろリラックスしたいところですが、日本のスーパースター空海。
彼はとても興味深い人物なので、休むどころか興奮してしまうかもしれません。

■出身
歴旅は歴史発生のプロセスと背景を見ます。
人物であれば血筋と育った土地。
人間は常に環境によって育まれているので、土地と影響力のある周りの人々との関わりを見ます。

空海は本名を|佐伯真魚《さえきまお》といいます。
けっこうかわいい名前ですね笑
讃岐の国、今の香川県多度津たどつに生まれます。この地域は渡来人系が多い地域でした。
では空海は中国人なのか?

この辺り、定説はないですがわかるところまで事実関係を深堀ってみましょう。

■中国留学って、2年弱
空海が遣唐使船で唐に行って様々な文物を持って帰ってきました。一番の成果は密教を持って帰ってきたこと。
しかし、彼の留学期間は2年弱、実際は1年半程度だったそうです。
そんな短期間で何をどれだけ学べるの?
(大人になったら本当に一瞬です。。)
しかも今と違って船で大陸に渡ってから長安までめっちゃ遠いし。。。。
現代でもめっちゃ遠いんですよ。本州縦断できるくらいの距離です。

更に留学期間、短すぎない?
はっきり言って驚異的です。これに対して、空海は渡航前に虚空菩薩の真言を100万回唱えたらなんでも1回で全部暗記できるようになった、と説明されています。

そんな修行をしていた、ということはいいのですが、それだけでは腑に落ちませんよね笑

少なくても言えることは、渡航してすぐに中国語がペラペラな状態でないと、この短期間で勉強はできません。そうすると、
①空海は渡来人系の家系だった
②空海は渡来人から密に学ぶ環境にあった

のいずれかかと思います。
古い時代を扱っていると何でもすぐ「渡来人」「ユダヤ人」という謎の流れがあるのですが(歴史ロマン的には楽しいですが)、ちょっとぶらりと歴史をさかのぼってみましょう。

■空海の血筋
 記録が残っている限りですが、血筋というのは一番その人の情報環境を探れます。特に古代は姓(かばね)といって、職能集団と名前が極めて密接でした。(ちなみに記録そのものが違っている場合はありますよ)
例えば馬飼さん、犬養さんなどは大陸から来て馬を生産できる馬産能力のある人達でした。宇合(うまかい)、向井、などいろんな名前で変形、派生していきますが、比較的シンプルで分かりやすい話です。

 さて、空海の家柄はどんなところだったでしょう?
彼は地方豪族と中央官僚の子供として生まれます。父・佐伯田公(さえきのたぎみ)は今でいう多度郡少領。市長みたいなものですね。経済力があった。空海が生まれてくる前から仏教を学んでいた一族のようですが、経済力があった。当時寺を建てるのには知識や技術以外に経済力が重要です。これを持っていました。そして母方の親戚には阿刀宿禰大足(あとのすくねおおたり)という伊予親王の教育係がいました。学者の家系ですね。仏教にも興味があり、経済力もあった。

というのですが、どちらかというと蝦夷の家柄で、いち早く大和王朝に帰属し、その中での出世頭だった、と考えられます。
当時蝦夷は差別されていた、というイメージがありますが、そんなことはありません。毛深い、たくましい土俗の民族は尊敬されてもいました。
 記録には残りにくいのですが、東海以東の蝦夷は古代において隠然とした勢力を持ち続けています。

 佐伯氏ですが、当時の有名人もいました。

平安時代

Posted by rekitabipapa