2018年豊島岡中学校第1回社会より 空海⑥ モテモテ空海の恋!?

どうも。歴旅です。
今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

空海編です。全然終わらない!笑
まだ留学もしていない!笑

有名な話はかっとばし、前半生にフォーカスしましょう。

では前回の佐伯の有名人からです。空海とも絡んできますよ~

■佐伯今蝦夷・今毛人(さえきのいまえみし)
 遣唐使の大使を務めた人物です。(途中病気で行かなくなりますが)
この佐伯今蝦夷、聖武天皇の頃に大仏建立で実力を発揮し、6代天皇に仕えます。長岡京を建設するのにも尽力した人物で、特に都市設計と建築に力を発揮しました。控えめに言ってもかなり優秀。いろいろあって中央を追われ地方を転々とする転勤族でしたが、最後はまた中央復帰しています。

 さて、名前を聞いてお気づきの方もいるのではないでしょうか。
 なんで蝦夷(えみし)?
 当時蝦夷は大和朝廷に追われた原住民のような位置付けでした。どちらかというと差別されて追いやられている印象があります。

 しかし、その名が示すように、当時は尊敬されていた、あこがれの対象だったということが分かります。当時は入鹿(いるか。鹿)など、生命力の強さとして、動物の名前を付けるのが風習としてありました。弥生系の線の細い渡来系からすると、毛深く筋骨たくましい縄文系の日本の古層から続く民族は生命力に溢れた存在だったのかもしれません。空海の本名真魚もそうですね。縄文からの日本の伝統が息づいています。

 他にもいますが、蝦夷を名乗る高級官僚は多くいました。本人の出自が東国だった場合もあるし、あやかってつけた名前もある。古代日本は帰化人が作った、なんて話もありますが、圧倒的人口とパワーバランスを考えると、渡来系の知識を利用し、取り込んでいった、というのが本筋ではないでしょうか。

佐伯氏(佐伯直:さえきのあたい)はもともと東国人の捕虜だったところを騒がしいという理由で瀬戸内海一体に送られたのが始まりです。もともと蝦夷の血筋だったのですが、いろいろ優秀だったのか宮廷護衛なんかもしていて、栄えています。厳島神社の神主の家系にもいます。

 そんな生まれ育ちの空海。完全土着民でした笑
15歳で平城京に上京し、この佐伯今蝦夷が立てた奈良の佐伯院で学んだのでした。ここには隋唐の留学僧もたくさんいて、ここで中国語・漢籍を学ぶんですね。18歳で都の大学寮に入ります。当時の日本の最高学府。通常13~16歳ではいるのですがいろんなサポートがあってうまくはいれたのでしょう。

■苦悩する空海
前にも触れましたが、中央で力を持っていた仏教僧達。
仏教を学ぶ者は教えそのものではなく、中央官僚を目指すようになっていました。空海はまじめすぎたのか、これに反発します。周りの貴族の子弟とは馴染めない。

「いい大学行ってどうするの?偏差値よかったら何なの?花形職業になって何やりたいの?つぶしが聞くからいい大学のいい学部行って、結局あなたは何したいの?」

みたい話ですかね笑
いいんです。自分の道を選べば。選べること自体が恵まれているんです。

真面目な話、仏教僧は相当堕落していたんです。官僧は税金納めなくていいし生活保障されていた。なのでまじめに仏教を追求しようとすると、もう国の許可とか関係なく山林にこもって修行するしかないんです。

空海は超優秀エリート官僚になれたのに、学校を脱出!
山にこもります。

しかし、その前に。

一つ別の苦悩がありました。
それは、空海はモテモテだったんです。。。。笑

■|善道尼《ぜんどうに》
 彼女は最終出家して尼さんになるのですが、もともとは皇族。早良親王の第4息女でした。
 早良親王、どこかで出てきましたね?
 そう、条坊制の時に出てきた人です。
桓武天皇の弟で、難癖付けられて餓死させられ、祟りで恐れられた人です笑(諸々繋がってきましたね)
 
 空海の物語背景には、先の条坊制、祟り、仏教の時代背景が裏にあります。早良親王はもともと東大寺と密接で仏教に詳しい人でしたが、罪なく追い詰められて亡くなりました。

 腐敗している仏教僧。国の許可とかあってももはや仏教の本質とは程遠い、権力と利権まみれの状態。宗教というのは金持ちからお金が集まっちゃうんですね。
 
 一方真面目にやっていた人がハメ殺される。
 世の中ああ無情。
 こういうのを見ていると、空海が中央を飛び出して山にこもる気持ちもわかります。立身出世したところで殺されるかもしれない。だとしたらこのわけのわからない状態を脱して、仏教を極めたい。
死って何だろう。。。

善道尼も同じようなことを考えていたのでしょう。二人は出会っちゃいます。
 
 そんなことを考えていた時に華厳経と出会いました。
 ここでは毘盧遮那仏という、実在しない時間も空間も超越した存在の仏に全部帰一するという教えを展開して、慈悲を説いているんです。
慈(いつくしみ)と悲(苦しみを取り除く)。今の二人には求められることですね。癒されたいですから。
 
 そんなこんなで二人の恋愛は。。。進むことはなかったのですが、まじめな話をしながら惹かれあり、関係は老後まで続きます笑

しかし、もともとの原始仏教には神様なんていなかったのに、大乗仏教になって勝手に生み出しちゃいましたね笑

空海は俗世間のはざまで苦悩し、そこから逃れるために山林修行に入ります。