2018年豊島岡中学校第1回社会より 江戸の農業⑤ 江戸の社会とビジネスがすごい!
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
江戸経済、どうでしたか?
思ったよりすごくなかったですか?
他にもあるのですが、別の切り口を紹介しつつ、そろそろまとめに入りましょう。
■江戸の金融・経済・社会保障
農業中心に話をしてきましたが、いろんな仕組みができがあります。農村では「〇〇講」というのができます。
簡単にいうとみんなで助け合おうという互助組合なのですが、頼母子講(たのもしこう)などは、普段から少しずつ参加者内でお金を小口で集め、くじや入札で決めた当選者に一定金額を給付して、全構成員にいきわたったら解散する、ということをしていました。ボーナスみたいなものですね笑
たまに入るまとまったお金で何をする?
ワクワクしますね笑
もともとはみんなでお金を出し合って助け合って富士山に行く、月山に行く、などの宗教的な集団から発生していますが、地域の相互扶助団体へ転用されて行きます。
子供が生まれたり、自分が働けなくなった時にそこからお金を出してもらう、という仕組みができました。今でいう保険ですね。この頃から失業保険、みんなで自立的に作っていたんです。農民、賢い。
また、大阪では様々な物資が集まる市場へと発展していました。米の相場は大阪で決まっていました。しかも豊作、不作だった時に先に予約した値段で買える仕組みを使っており、大阪の堂島では世界最初のデリバティブ市場ができました(お米の先物取引市場)。
来年は不作になるぞ!と思ったら豊作の今年のうちに安く買っておくんです。決めた値段で買う権利が与えられる。
そうすると、飢饉の時にめっちゃ安く米を仕入れて、めっちゃ高く売れるんです。みんな困ってるから高くても買うんです。
あくどいですね笑
これは極端な例なのでいいか悪いかは別として、こうやって儲ける仕組みが江戸時代にできてました。
また、田沼意次(たぬまおきつぐ)の時代には、傾きかけた財政を復活させるためにビジネスの仕組みを発展させます。その中で、株仲間という仕組みを作りました。冥加金(上納金)を納める代わりに独占販売権が与えられました。これは幕府にとっては流通統制が効くというメリットもありました。
株仲間は同業者同士で構成され、カルテルを形成しました。仲間内で市場価格をコントロールできる、ということができるのですが、現代と違い安定していない商品流通をコントロールできるメリットもありました。江戸時代は現代と遜色ないくらいの仕組みつくりができていたのでした笑
ちなみに田沼意次の政策は、少し前の尾張藩の経済政策を模範にしていると言われています。とにかく景気を盛り上げじゃんじゃん金を回す。景気は回復。消費も増えて商工業も栄えました。
(尾張藩はこの後浪費が激しすぎて景気後退し、名古屋人の普段はお金を節約して溜め込み、一点豪華主義でドン!とお金を使うスタイルが確立されました笑)
江戸経済、本当に現代と遜色ないんです。
歴旅がその昔、時代劇の『暴れん坊将軍』を見ていた時、
悪党が金でできている大判小判の含有量を減らして流通を増やす、など、いわゆる通貨価値の操作を行っていたんです。
子供の頃の歴旅はバッサバッサと切りつける殺陣(たて)ばかりに興味を持っていたので、何が悪いのか理解できませんでした笑
■まとめ
さて、江戸の農業、ビジネスをぷらりとみてみましたが、ここらでまとめましょう。
・江戸時代には勤勉革命が起きていた
農業の生産性向上→余剰時間の発生→夜の家庭内手工業→現金獲得→生産原料の消費→商品の消費→特産品も売れるし農業の生産性向上
というサイクルが生まれ、土地の生産力が向上して余剰時間も生まれ、それをさらに労働に充てることで商品、現金通貨が増えた。
・小規模経営者が増えて商品製造、消費が活発化した。
・海外の商品もほとんど内製化できた。学ぶことを重視し、生産に励んだ。
・農業発展により人口が増えた。
■最後に江戸のGDPを見てみよう
GDPって知ってますか?
いわゆる国の経済力をします指標に使っている数字です。
この中身を計算式で書くと、
Y=C+I+G+(X-M)
Y:国民所得(=GDP)
C:民間消費(消費)
I:民間投資(投資)
G:政府支出
X:輸出
M:輸入
となります。
いきなり経済学の話になってきました笑
人々の消費が増えて、家とか機械とかお城作ったり投資が増えて、幕府が飢饉対策などでお金を出したらGDPが伸びていきます。
中身は触れずに概要を出すと、
ざっくり江戸時代は下記のようなGDPでした。
1600年 1兆3929億385万円
1700年 2兆2283億5657万円
1820年 3兆28億5165万円
1870年 3兆6767億1595万円
これはイギリスの経済学者アンガス・マディソン教授が超長期AD1~2030年までの各国統計を出したものを基にしています。
2020年のGDPは526.9兆円。
150年で比較にならないぐらい経済規模は伸びていますね笑
江戸時代を通して、人口も農地も、GDPも倍に伸びています。
江戸後期にはアジアでトップクラスの裕福な国になっていました。
中国は17世紀まで世界のGDP70%を占めていたくらいダントツでしたが、植民地化によって蚕食されていきます。
他アジアはタイと日本を除いて植民地。
人々が必死に働き作り上げた社会と豊かさ。
この生活をどう守るか。
当時のサムライは必死に考えたのではないでしょうか。
それを引き継いだみなさんは、現代においてどんな社会を作るのでしょうか。機会を見つけて一緒に考えていきましょう。
歴史は現代まで繋がっています。
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