2024年開成中学校①2024 ③選挙制度
どうも。歴旅です。
今日もぶらりと歴史旅。
問2 日本の選挙制度の変遷について述べた次のア~オの文のうち、下線部の内容が正しいものを二つ選びなさい。(太字にしています)
ア 1890(明治23)年の衆議院議員選挙において、選挙権を有するのは直接国税を25円以上納める満30歳以上の男性のみであった。
イ 1935(昭和10)年の普通選挙法成立によって、納税の有無にかかわらず、満25歳以上の男性が選挙権を有することになった。
ウ 1945(昭和20)年の衆議院議員選挙法改正により、女性の参政権が認められ、満25歳以上の男女が選挙権を有することになった。
エ 2003(平成15)年の公職選挙法改正により、自筆ができない場合に、投票所において親族が代理記載することが認められた。
オ 2013(平成25)年の公職選挙法改正により、候補者や政党がウェブサイト等で電子メールを利用して選挙運動を行うことが認められた。
はい。選挙制度ですね。結構重要です。
昔は数字を暗記して終わりでした。しかしそれでは生きた学問にならないので、社会背景を考えてみましょう。
まずは少し政治形態の話をしましょう。
江戸時代には選挙制度、ありませんでした。徳川家が幕府を作り、政治を取り仕切っていました。ここに参加できるのは大名です。旗本など他いろいろいるのですが、基本文字が欠けて勉強ができる人達。地方ではやはり大名がいて、その下に侍がいます。武士が行政官を担っていました。これもまた勉強できる人達ですね。
明治時代になり、薩長軍閥が明治政府を取り仕切っていたのですが、自由民権運動によって全国から議員が選ばれるようになります。一部の都道府県出身者からではなく、全国的に選ばれた人達で日本を運営していこう、という方針です。
■収入について
それでは政治に参加できる人がどのように変化していったのか、です。
明治時代になって士農工商の身分制度がなくなってしまいました。みんな平等、というのは良いのですが、この時代文字も書けない人もたくさんいます。こうした人達が国家をどう運営していくか?という意思決定ができるのか?という話です。日清、日露戦争を戦った方がいいのか、悪いのか。炭鉱を開拓して街を発展させるのがいいのか悪いのか。そもそも文字が書け、読めるのが前提。ある程度収入があり、勉強でき、社会を知っていて判断可能な必要があります。でないと村ごと扇動されていびつな政治になります。そうするといったん税収を判断基準に、国にお金を治めて貢献できる人達で意思決定しよう、ということになります。
そこから1989年、1900年、1919年、1925年と
15円、10円、3円、全員と納税金額が下がっていきました。
教育が普及してきて、兵隊として海外に行く人も出てきて、多様な判断が可能になります。
■男女
収入と関連してきますが、女性は現金収入がなく基本的には家庭で働いていました。現代的には怒られてしまいますが、まだまだ女性に教育は不要と思われていた時代です。教育が普及しきっていない時代、読み書き不十分、社会の事が分からない、という状況で女性は選挙できなかった状況です。
もちろん昔から教養のある女性もいました。紫式部や大名、侍の子女ですね。しかし全国的に選挙権付与となると人数的に広まるまで待つ必要がありました。
■年齢について
そして、明治時代には今と年齢感覚が違います。ちょっと前の江戸時代では15歳で元服(成人)、40歳でもはや御隠居でした。明治も大体一緒です。35歳だとほぼ御隠居からスタートになってしまいます。現代と成人の年齢感覚が違いますね。選挙権は統一して25歳です。ちゃんと働いて、まともに納税している年齢ですね。
こうした数字基準の丸暗記も、社会の発展状況、教育の普及、社会運動などによって変化していったことが分かりますね。
こうしてみると選挙権の基準も意味があることが分かります。まず文字の読み書きができる事。代筆したら他の人の意志になってしまいます。1票が1票でなくなる。現代的に当たり前なことは、どの時代も当たり前、ではありません。公平で正しく、まともな人々の意思決定が政治に反映される必要があります。
ありがたいことに今は現在日本では18歳で選挙権がありますが、出馬者が何者か、どういう能力があるのか、何ができるのか。いいこと言っているだけなのか、裏で悪いことやってる人なのか。意味ないと思われても中長期的に国にとっていいことしてるのか、悪いことしているのか。なかなか調べきれないですが、WEBが発達した時代、ちゃんと情報収集して投票するのが選挙権を持つ者の義務ですね。
最近ではWEBサイトやメールでも選挙活動ができるようになりました。
カラーのポスターやチラシって、意外とお金かかるんですよ。みんなポイ捨てするのに。政治家がお金かかると大変ですから、便利な時代になりました。
でも有料広告掲載はだめですよ。どこかの副大臣のように公職選挙法違反で捕まってしまいますから。買収、陣中見舞い、など慣例化したお金の動きがいろいろあるようですが、クリーンな政治を期待したいところです。
答えイ、オ
普通選挙法が成立する1925年頃、先の関東大震災の復興予算は大幅に削られました。国を発展させるための税金は、普通選挙になることによってまっとうな形になったでしょうか。あるいは歪んだのでしょうか。復興庁総裁に就任し帝都復興に努めた後藤新平が当時のことを書き残しています。
さて問題です。この18歳以上男女に選挙権があるのは、まっとうな政治家を選ぶために適した基準でしょうか?また、なぜ20歳から18歳に引き下げられたのでしょうか?
答えはないですが、考えてみましょう。
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