開成中学校社会① 度量衡

どうも。歴旅です。
今日もぶらりと歴史旅。

問題1 現在の1メートルは「1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空を伝わる長さ」と定義されていますが、18世紀末にフランスで制定された際には現在と異なる定義でした。その際「地球の北極点から赤道までの子午線上の長さ」の何分の一と定義されたか、答えなさい。

問題2 メートル法に関連した単位として誤っているものを次のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。
 ア キログラム イ バレル  ウ ヘクタール エ リットル

問題3 バビロニアで発展した天文学では60進法が用いられ、現在も時間や角度を示す単位には60進法による時間(度)、分、秒が使用されています。地球上の緯度1分に相当する長さをもとに定義された長さの単位を答えなさい。

難しい問題ですね。どちらかというと理科の内容でしょうか。
紀元前から天文学をもとに数学で算出し、様々な生活に使われる単位が作られてきました。古代人ってすごいですね。

問題1は暗記問題とも言えますが、地球の長さをもとに単位が作られました。
もし地球の北極から南極までの距離が分かれば算出できます。おそらくその方が早いでしょう。
地球は一周で約4万㎞。メートルに直すと、40,000,000mです。
北極点から赤道までは1/4の距離。40,000,000m÷4=10,000,000m

答えは(1000万)分の1ですね。歴史小話を挟む隙間がありません笑

問題2 これは聞き方が微妙ですね。そして難問。単位として誤っているもの?どれも単位がバラバラです。メートルは長さ。キログラムは重さ。バレルは液体の量、体積。ヘクタールは面積。リットルも液体の量。

この基準ではなさそうです。ヒントはメートル法に関連した単位、というところですね。基準が異なるとすれば、基準を制定した国の見方ではどうでしょう。

メートル以外にもヤード、ポンドという基準があります。イギリスやアメリカの基準単位ですね。時系列で考えてみましょう。他の単位は古くからありますが、バレルだけ石油の単位です。つまり割と新しい。そしてガロンという単位もありますね。日本がメートル法を導入したとき、同じ国、そして他の単位も導入しているはずです。世界共通にするために古くから使っていた単位をやめて変えているからです。この時の「国際基準」に合わせるはずですね。貿易で小麦や液体、その他諸々がそろっていないと計算が面倒だからです。
1924年段階、石油の輸出入はありましたが、一般使用する単位ではないし、軍事用がメイン。最大輸入国のアメリカの単位はガロン。

ここからバレルが異なると判断します。難しいですね。前提条件の情報がないとなかなか判断できません。中学受験では年号は覚えないかもしれませんが、時系列は意外と重要です。 因果関係の順序などは時系列が分かっていれば回答できます。本のしおりのような役割ですね。ここでは細かく覚える必要は全くないですが、歴史の「基準」を考えると正解に近くなります。

問題3 緯度1分の長さを考えてみましょう。

度量衡(どりょうこう)という考えがあります。重さ、長さなどを統一することです。秦の始皇帝が有名ですね。
どこの国も身近な経験則から長さや重さなどの単位を考えていますが、どこもバラバラです。
重さや長さはある程度見えるので確認できますが、例えば、「100円=3.54ホヘ」と言われたらどうでしょうか。
何それ?合ってるの?そもそもどこまで通用する基準なの?それに合わせて2000万円とか貿易しちゃっていいの?というか騙されてない?損してない?
と疑問だらけになります。
世界の始まりはそんなところからです。
これを統一する事で異文化や異なる基準のところからの貿易がやりやすくなります。設計やコミュニケーションも円滑になりますね。一番身近な例で行くとやはり通貨でしょうか。
円とドル、ユーロ、人民元、など、各国でバラバラです。
では100円=1ドルなのか?など基準が変わると全く世界が変わってしまいます。
大損する事もありますし、あまりに変わると大混乱でそもそも取引停止になります。
今は変動制という形で毎日市場で基準価格が変わっていきます。これによって儲かったり大損したりする。これが為替であり、米国株とかでも影響します。通貨価値の度量衡。基本でもあり、大人になったら日々使うものでもありますね。
また、江戸時代はお米が年貢だったんですが、農民から年貢を取り立てるときに、「いつもよりちょっと小さい枡」を使い、善政を敷いた殿さまもいました。年貢はちゃんと持っていったぞ!と言いながら農民の手元にお米がたくさん残るようにしたんですね。

問題3 これも半分計算問題、半分知識問題ですね。難問です。
まずは緯度1分を計算してみましょう。どれくらいでしょうか。
1度=1/360ですね。 40,000㎞÷360=111.11㎞
1度=60部なので、  111.11㎞÷60=1.852㎞

まあまあ中途半端な距離が出てきました。
答えは海里、船で距離を測るときに使う単位です。
知ってないと最終解けないと思いますが、緯度を用いているのがポイントですね。地球規模での単位、緯度1分で設定するとメリットがある使用方法。
貿易で海を行くときに目印になる者がありません。方角とスピードくらいなのですが、この海里という距離があると、1ノット(1時間に1海里進む速度)となり、航海に便利です。
『海底2万マイル』という文学作品が有名ですね。
ちなみにこの海里はマイルといいますが、英語のマイル(mile)は陸上用で約1.6mになります。紛らわしいので英語では「sea mile」「nautical mile」といったりします。


答え 問題1 1000万 問題2 イ バレル 問題3 海里