2019年桜蔭中学校社会より 縄文時代⑥ 森と共に生きる文化

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

本日は縄文編最後。
縄文と言いながらサピエンスのグレートジャーニーから弥生時代まで来ちゃいましたが、今日は現代日本までつなげます笑

■黒曜石の流通と神社の分布
 黒曜石をたたいてナイフにしたり、矢じりにしていた縄文人。
 最初の頃は伊豆諸島の神津島というところでしか黒曜石が取れませんでした。なのに鹿児島から、伊豆半島からみんな取りに行きました。
 わざわざ船に乗ってでも取りに行ったんですね。これも全国流通です。
 しかし縄文時代の中期になってくると、諏訪の和田峠というところで獲れる黒曜石が流通し始めます。
 諏訪は縄文集落の一大集積地となります。もう銀座状態笑
 諏訪は古代において一貫して人口の多い地方でした。

 そして、この諏訪の文化は北陸から関東一円、東海、東北まで伸びていきます。諏訪の縄文遺跡からは「石棒」と呼ばれる謎の棒が見つかります。用途はわかりません。
 しかし、諏訪地方の神社の一部を見ると、ご神体として収まっているのでした。縄文土器にも蛇をデザインしたものが多くありますが、一説では石棒も蛇を模したものと言われています。
 そして諏訪発祥の神社は、自然信仰、蛇神信仰と考えられており、ミシャクジと呼ばれ、関東、東海へと広がっています。東京の上石神井(かみしゃくじい)などの地名にもその名残をとどめていますね。
 不思議なことに、和田峠産の黒曜石が見つかる流通経路とこのミシャクジ信仰の神社はほぼかぶっています。
 諏訪の縄文時代の信仰形態が神社に受け継がれて行っていることが分かります。

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■自然を大切に縄文時代から続く日本人の特性
それは自然を畏れ、敬うことです。

どんなに文明が発達しても、地震、津波、大雨などが来たらひとたまりもないことを私達は認識しているのではないでしょうか。
人間は自然には勝てない。自然は恵みももたらすが破壊ももたらす。
この考えが根底にあるのだと思います。

キリスト教などの一神教の世界ではこうは考えません。
自然は人間が利用していいもの。ついでにいえば異教徒は人間ではない。
くらいの観念で対応し続けてきたことは、大航海時代以降の植民地時代、奴隷貿易、大量自然破壊の連続を見ればわかります。

日本人は森の中に何かいる、くらいの感覚を持ち、守る、親しむ感覚があります。
全く自分と関係ない世界とは思わず、非日常でありながら、ただ利用するためだけに破壊しようとは思わないでしょう。




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こうした自然観は日本人の死生観にも影響しています。
死んだら自然に帰る。命の循環の思想です。

「時の終わり」を設定し、天国地獄という別のアナザーワールドを想定していたら、お盆に毎年祖霊が帰ってくるなんてできません。盆暮れ正月、年2回は帰ってきちゃうんです笑
「あの世」と「この世」が近いのもポイントです。大体山の向こうくらいと考えているのではないでしょうか。

お盆にはじいちゃんばあちゃんの霊が戻ってきて盆踊りを踊ってしばらく滞在し、そして精霊流しなどで帰る。
「インスタ映えするね~きれい」
くらいの感覚で現代でも普通にイベント化。
地方によってやることは異なりますが、花火くらいの夏の風物詩ですね。

地方に残る夏祭り。いいですね。
都会より地方にこそ日本の文化が残っていると思います。
無形文化は引き継ぐ人がいないと途切れてしまします。
1年でも早くコロナが収束しますように。

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■まとめ
いかがでしたでしょうか。
縄文時代でこんなに語られるとは思わなかったのではないでしょうか笑
古墳時代も繋げられましたが情報が少ない時代なのでここまでにします。

試験には出ないかもしれません。しかし2021年に北海道・北東北縄文遺跡群が世界遺産に登録されたので、時事問題としては出てくる可能性がありますね。

今回は教科書レベルをはるかに超えてしまっているので余分な情報かもしれませんが、私たち現代日本人が縄文時代からずっと繋がっていると知ってもらえたらうれしいです。

ざっくりダイジェスト版で書きましたが、『SDGsを超える日本の縄文文化』(現在kindle版のみ)に詳細書いていますので、興味があったら見てみてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09CCVWGSH

さて。縄文時代まとめです。あんまり最先端なまとめはやめておきます笑

・狩猟採集民族なのに定住を可能にした
・農耕はできたけどやめた。米は作らなかった
・石斧で作った丸太船で広域移動した
・翡翠や黒曜石を流通させ、日本各地に行っていた
・弥生時代から農耕、銅鐸、剣など金属器、城柵集落が始まった。
・弥生時代は「倭国大乱」
・弥生時代。お隣の中国大陸は春秋戦国時代~漢~三国志の時代。

今回は1万年の長旅でした。
ではではまた~