小1夏  オーストラリア現地小学校のスクールライフ④ 早期英語と日本語教育について

9月 3, 2025

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家レベルの社会を楽しく学びましょう。

早期英語は半強制的に実現されているのですが、一方で問題になるのが日本語です。
普通はそこまで考えなくていいのですが、海外となると逆に変な日本語になってはいけないという思いが強くなります。

歴旅は言語学や文化人類学と近しいので研究者仲間がいます。そのため日本語教育について、「できて当たり前」という感覚がないです。チェコやフィンランド、ポーランドのように何度も言語を消滅させられかけている国からすれば、母国語教育というのは国家としての根幹であり、それが失われるということは国家、そしてその根本となる民族が消滅するに等しい行為です。もしエリートが英語だけに執着するとすれば、フィリピンのようになるでしょう。発展しているのでしょうか。していません。日本も一部エリートと貧困層に二分化が進んでおりますが、200年前から変わらない構造です。大学のグローバル評価も「英語で学べる授業」「英語論文の本数」「留学生数」などが指標に入っていますが、研究や学問の本質ではないです。それに準じる学校は良いのか悪いのか。学の独立が問われます。

■相対的な言語論
教育心理学、言語学的見地に立つと、日本語の重要性が分かります。
母国語、としての意味ですが、まずは人間は母国語の度合いによって思考力の深さ、幅の広さが決まってきます。その中でひらがな、カタカナ、漢字を使い分ける日本語は高度な運用が必要です。また敬語、尊敬語、謙譲語などもあり、日本社会が理解できないと使いこなせません。言語の複雑さや体形でいうならば、アラビア語、ペルシア語、ジャワ語なども優れていて、話だけでお互いの立場が分かるのはこうした言語の特徴です。

英語はそれに比べると簡単です。商業用に発達したクレオール言語に近く、いろんなところで使える。もともとビジネス用の言語とも言えます。表音言語なので論文を書くにしても本を読むにしてもかさばって大変ですね。
もちろん英文学のような優れた作品もありますが、そっちに進む人は良いとして、一般的に習得すべきは、「①普通の日常会話が話せて、②仕事で使える」ことをゴールとすればよいかと思います。やはりどこまでもビジネス仕様。



そもそも世界に英語を広めようとする意図は何でしょうか。一時代の覇権国が便利にビジネスできるように、自分達はその時間を割かなくていいようにしていると言えます。英米が200年覇権を握った結果であり、それが今後も絶対ではないですね。アジアで仕事でほとんど日本語が片言でも通じていた時代は終わってしまいましたが、経済と言語の連動性を考えると明瞭です。それを越えて言語を大切に扱っているところはどこであれ国家、民族が分かっているエリートです。そうでない、ということは英米圏でもエリートとはみなされないでしょう。
隣の国の政治家が言うように「使いやすい賢い愚物」という位置づけになります。英語はできて当然ですが、過度な盲進、位置づけを見失うのは危険です。金額的には正直350円のNHKラジオ英会話で情報量は十分です。

■日本語教育
さて、うちで苦労しているのは日本語です。こちらにも日本語学校が日本人共同体の中で作られ運営されています。それでも土曜午前中だけであり、圧倒的に時間が足りません。それで日本と同じ学習スピードで教科書を進める。つまり家で親が見る時間が膨大、ということです。
これはもはや過程でやるしかありません。外注不能です。うちはけっこうこれに時間を割いています。つまり自分で本を読み進める能力、漢字を深く理解する能力がなければ、その後の勉強に多大な支障が出ると思うからです。本国人でもない外国人という立場で、英語ができるだけでは正直使われる人間にしかならないでしょう。国籍や民族によって言語は紐づいており、母国語を大切にしない人間がどうなるかは、移民国家のこちらでも似たことが起こっています。つまり「作る」立場の人と「使われる」立場の人です。価値を生み出す人は異文化環境で自文化の価値を高め、伝達し、軌道に乗せています。ベトナム、中国なども同様です。

子供用にはマンガも多用しています。海外では子供用と見なされ続けたマンガも、現在では日本文化の大きな地位を占めています。子供にとっては絵本の続き、とも言えますが、絵を見る右脳処理と、文字を読む左脳処理を同時に行っていくという点で秀逸な仕組みだと思います。他の国にもマンガはありますが、本当に子供用であって絵と文字は意外と分かれてしまっています。「小説⇔マンガ⇔アニメ⇔映画」などのメディアミックスは日本独自にできた文化でありビジネスと言えるでしょう。近隣国家にパチられていっていますが、もっと大切にした方が良いかと思います。
そんなわけで子供には絵本とマンガを推奨しています。

■漢字
もともとオタク的素養を持った小1息子は漢字にもはまりました。水習字で筆を持たせて描くこと、アプリで漢字クイズを膨大に勝手に出してくれるものを与えたら小4まで読み進めていきました。
とはいえまだ「書ける」だけで、文章中で読むこと、読み方の訓読み、音読みの変化などについていけていません。漢字を単発で覚えることも重要ですが、文章中でどういう意味を持っているかも読み進めていかないとだめですね。ちなみになかなか本を読んでくれません。英語の宿題の本も3日はかかるから、ということもありますが、日本語の本をちゃんと読む習慣をつけたいところです。