平成29年桜蔭中学校社会②より お茶の歴史⑥ お茶とアヘン戦争②
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
突然ですが問題です。
清朝がイギリスに香港を割譲することになった条約はなんでしょうか?
1.西安条約2.北京条約3.南京条約4.最木浦条約
ちなみにアヘンって吸ったらどうなると思いますか?なんでも、無気力でゆるい幸福感が得られるそうです。もやもや~と現実世界から離れて夢の世界へ。切れると苦痛を感じ、更なるアヘン吸引を求める。
現代では無料ネットサービスが似ています。なんでも薄い楽しさが得られる。そして行動することがめんどうになる。苦労とか人間関係のわずらわしさから逃げたくなる。ニートになる。パソコン、スマホがあれば幸せ。
アヘンを吸うとこんな感じになります。
無限に時間を消費して、人生全力尽くさないまま漫然と過ごして衰弱する。
過去は妄想というビジョンでしたが、現代ではネットと画面で映像が現実化できているだけで、行為自体は同じです。高価か無料かでいうと無料の方が広まりそうです。※程度の問題です笑
さて。中国側もアヘン完全撲滅のために徹底的な取り締まりを開始します。中国の官僚林則徐。徹底的に取り締まります。
「アヘンで商売をしたら死刑」と宣言し、アヘン商人に対して誓約書を書かせます。(麻薬を持ち込んだ外国人は死刑というのは現代中国でも同じで、アヘン戦争時期の事が相当影響を与えています。)
そしてイギリス人が持ってきたアヘンを全て没収して焼却処分。
なんと1400トン以上あったそうです。
イギリス、犯罪者ですね。清朝を内部から滅ぼす気だったのか。この物量は確信犯です。
駐中国外交官のチャールズ・エリオットは1839年マカオに退去します。身の危険を感じたエリオットは船上に避難してイギリス政府に救援を求めました。
これに対してイギリス本国は「戦争だ!」となるのですが、意見は分かれます。この頃半植民地化され始めた、といっても中国はなんだかんだでハンパなくでかい国なんです。当時は眠れる獅子と言われていた。ちょっとやそっとでは勝てない。というか覚醒したらかみ殺されるくらいの実力がある、と思われてきました。実際にそれくらいの経済規模はあったのです。
しかしイギリスも戦争と侵略を繰り返してきたのでやる気になっています。
中国と戦争するか。この決定にはさすがにイギリス議会でも「不義の戦争」として反対意見も出ました。しかし東インド会社の後継会社であるジャーディン・マセソン商会のロビー活動が功を奏して、僅差で中国出兵が決定。
1840年アヘン戦争が開始されます。
始めてみればイギリスが圧勝。
中国はランドパワーの国なんですね。陸の戦いが強い国。
当時清朝は満州族が作った国でした。満州族はツングース系の狩猟遊牧民族で、馬に乗ったらめちゃ強い。一方水軍力はさほどではない。(明朝の時から大船団がありましたが、砲撃力など新技術は追いついてませんでした)
これに対しイギリスはシーパワーの国。海を制覇し続けてきた海軍力で海上覇権を取ってきた国です。世界屈指の海軍力を持つイギリスは海戦に持ち込み圧倒的に勝利。
戦争は常に利益目的で始まります。
「豊かになったら戦争がなくなる」なんてのは嘘です。
戦前と貧しい中国を知る今の60~70代の人達は「アジアが豊かになったら戦争はなくなる」と真面目に考えていました。貧困で追い込まれるから戦争せざるを得なくなる、と思っていたんですね。実際は2021年現在の中国を見ればよくわかります。豊かになったら軍事費増大。利益を求めて膨張。周辺国と摩擦を生み出しています。日本の上空は年間900回以上スクランブルです。1年は365日しかないのに。。
これに対してイギリスは川鼻条約(広東貿易早期再開、香港割譲、賠償金600万ドル支払い、公行廃止、両国官憲の対等交渉)を締結させ、貿易の再開や賠償金の支払いなどを求めます。しかし中国の反対で反故にされました。これに対してイギリスはさらに中国に侵攻して壊滅的なダメージを与え降伏させました。1840年南京条約を調印。内容は、
①公行制度の廃止と自由貿易
②多額の賠償金支払い
③香港のイギリスへの割譲
④広州、福州、上海を加えた5港開港。
更に翌年の虎門寨追加条約では、
①治外法権
②関税自主権放棄
③最恵国待遇条項承認
が追加されました。
ここはもはや現代的な文脈で理解してほしいです。
日本で明治期に起きたことも全部同じ構造だからです。構造をよく理解しておくことで近現代史では世界史もダイレクトに日本史に関係してきます。
この治外法権、関税自主権の撤廃にどれだけの血が流れたことか。日本のちょっと前の先人はどれだけの苦労をして撤廃に持ち込んでいったのか。そして現代日本では何が起きているのか。。時事問題ともつながります。
答え 3.南京条約
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