2018年開成中学校 社会①より 近現代史 廃藩置県
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
本日は廃藩置県と廃仏毀釈。
過去の日本から大きな変更があったポイントでした。
1871年廃藩置県
明治時代の最大の官庁は内務省。
江戸時代の藩を再編成し、幕末の動乱を経て新しい制度を整え、全国を統治することが明治政府にとって最大の課題でした。
まだこないだ戦ったばかり。明治政府をよく思わない勢力だらけです(徳川方、京都、江戸の町民など大半反政府でした)
新しい制度は作ったものの前途多難。内務省は警察も管理しますが、警察官も国内統治の上で重要な役割を果たしています。
戦国時代から江戸時代に入った時、江戸三百藩と呼ばれました。ざっくり各県6藩くらいありました。1藩=5市くらいの感覚です。
徳川方として統治してきた大名から、明治政府側の功労者が知事として派遣されてきます。軍人×行政官ですね。
佐幕派は敗戦なので致し方なし。
明治の最初は戊辰戦争後の仕置きなどありました。
戊辰戦争で激しく戦った会津藩は青森県斗南藩に送られました。新選組3番隊隊長斎藤一も斗南藩に行っています。会津藩28万石から斗南藩7万石へ。青森県下北半島の荒野では藩士を養えず、冬の海で海藻を取ったり、犬を食べたり。現地では「会津乞食」と呼ばれ、疫病、飢餓、住民との軋轢など壮絶な苦難を経ました。くしくも廃藩置県により移動が自由になり、解放されて行きました。
廃藩置県は内政と言えど戦争の影響を引きずっており、戦国時代の論功行賞のような側面がありました。
廃仏毀釈
歴旅は明治政府のこの政策だけは明確に汚点だと思います。
明治天皇を中心とする神道の国にするため、神仏分離政策が進められました。
この頃神道そのものもあり方が変わってきています。天皇中心思想を体系立てるために国家神道というものができてきます。ここにおいて皇統を中心とする神道が一神教のような体裁を整え始めました。
しかしもともとの神道は八百万の神を祀る思想。自然神もいますし、氏神もいます。全部皇統に整理されること自体に無理がありました。この時代からどこの神社に行っても複数の神様がいる状態が増え、どこにでも皇祖神がいる状態になりました。
更に被害を被ったのはお寺です。神仏分離によってお寺は破壊。廃寺にさせられていきます。いやいや、江戸時代先祖代々のお墓があるのに。お寺は当時寄合の場所、祭りの場所。孤児を和尚さん達が育てていた青少年保護施設。様々な地域機能を持っていたお寺がいきなり破壊。
これが結構ひどくて多くの寺が焼き討ちされ、仏像が破壊されました。甚大な損失です。やり方が戦国時代のどこかの宗教に似ていますね。
日本国内でもこうした動きは少しありました。本当に初期仏教が入って来た時の物部氏による迫害。戦国時代キリシタン大名の迫害。江戸時代も儒学が発展したときに仏教との分離がありましたが、その頃は寺数削減などの抑制策がありました。比較的マイルドですが、水戸藩は規模が大きかったそうです。この水戸学の一派。朱子学を突き詰めすぎてピュアさを求める傾向があるのですが、神道分離政策の動きに繋がってきます。
もともと日本は|本地垂迹説《ほんちすいじゃくせつ》というのを唱え、「神様仏様は同じだよ」という政策を取ってきました。
だから寺に行っても神社に行ってもどっちもいるようなよくわからない状態でした。異なる2つを融合する。概念としては非常に日本的です。「みんな一緒だよね」としたことで喧嘩をなくす高度な手法。
逆に「皇統は天皇家だけである!」「仏教と神道は別だ!」というのは、シンプルで分離したい理由もわかるのですが、社会的には一緒でいいと思うんですよね。喧嘩するより。
神社関係の話をしていくとこのころの吉田神道の影響が多く出てきます。いびつな一神教としての神道。しかしこの国家神道が戦争に突き進んだ時代の精神的支柱となっていくんですね。
しかし廃仏毀釈、結構厄介でした。もともと神仏混ざっていたので引きはがせない。もう表面を取り繕うべく神様くっつけるしかない。しかしこの時国宝級の仏像も多く焼却されたといわれています。
タリバンによるバーミヤン遺跡破壊くらいの人類文化に対する冒涜ですね。奈良の興福寺も五重塔が売りに出されて薪にされそうになりました。結構な蛮行ですね。
こんなことした理由として挙げられるのが、
①江戸時代の|寺請制度《てらうけせいど》の管理統制してきたお寺の特権に対する反感
②地方官が寺院財産を没収したかった
③ピュアな神道を求める廃物思想によるもの
と考えられています。まともな人たちは「神仏分離=廃仏毀釈ではない」ということが分かるはずですが…国学を突き詰めると「仏教って大陸文化だから不純だぜ」ってなっちゃうんでしょうか。政府の政策によって暴動襲撃が起きた事例です。
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