2018年開成中学校社会①より 近現代史日英同盟

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

日露戦争の中で重要な日英同盟を見てみましょう。

イギリスは強大な国ですが、もちろん完璧ではないです。極東の動向をすぐにキャッチして動くには遠すぎ、かといって中国のおいしい利権はほしい。ロシアは見えないところで海に出ようとしている。そんな中、極東で信頼できる国と手を結ぶ、というのは日英共に利害関係が一致するものでした。
当時イギリスは「光栄ある孤立」を貫き、どことも同盟しない一国主義でした。しかしそれを捨てて日英同盟を結びます。

日英同盟に繋がったのが1900年中国での義和団事件です。
清朝の統治に対して民衆が大暴動。ロシアは混乱に乗じて満州に侵攻し、全土を占領しました。こうした中、北京にいる外国人を暴徒が襲い始めます。これを守り抜いたのが北京に滞在していた柴五郎大佐でした。彼は清国の味方を得つつ、様々な国の外国人を守りました。日本の見事な動きを信用してイギリスは日英同盟を結びます。これはこの時にイギリスがアフリカでの戦争に注力していてアジアに手を回せなかったという遠因もあります。ロシアは日英米の抗議に撤兵を約束していましたがイギリスが動けないのをいいことに駐留し続けていました。日英同盟を結んだ結果、ようやくロシアは撤兵開始しました。
ロシア。隙あればスルリと侵略してきますね。
防ぐ手立ては軍事力と、それを背景にした外交だけです。

■戦費調達
日露戦争は様々な物語があり本1冊書けてしまうので要点と因果関係を追いましょう。

日本とロシア。どんなに危機感を持っても圧倒的にロシアが強いんです。はっきり言って戦いたくない。戦ってもヤバいことになるのが目に見えている。さあどうするニッポン??

まずは戦費調達のために日本は大借金を作ります。
当時の日銀副総裁高橋是清は外貨調達をして軍備増強を始めました。この時にアメリカのドイツ系ユダヤ人銀行家ジェイコブ・シフから外債を引き受けてもらいました。フランスのBNPパリバからも資金調達しています。フランスはロシアと仲がいいので(露仏同盟)すが、シフとの関係ができてから世界各国から外債引き受け、追加融資をしてもらいます。
ある意味ロシアに勝ったら爆騰するベンチャー株のような状態ですね。負けても借金の方に土地、資産を押さえられるからどう転んでもよかったのでしょう。しかし日本にとっては存亡をかけた大博打。
勝ったからいいものの、先の大戦に匹敵するくらい勝ち目のない戦いだったのではないかと思います。しかし博打ではなく、冷静に事実と現実的な力を積み上げ、戦略と国力を計算している人達が勝利へと導いていきました。

戦地で覚えておく場所は二〇三高地日本海海戦です。
陸戦の二〇三高地での戦いは、落とせば勝利するという場所でしたが、あまりの難易度の高さに大量に日本兵が死にます。|乃木希典《のぎまれすけ》将軍が指揮しますが、死神と呼ばれるくらい日本兵が亡くなりました。このあと児玉源太郎に変わって落としました。
乃木将軍について、夏目漱石が書いています。
なんという作品でしょうか?
答えは『こころ』です。明治天皇の崩御と乃木大将の殉死に触れており、「明治の精神」を語っています。
そして日本海海戦東郷平八郎元帥の指揮下で、ロシアのバルチック艦隊をやぶります。これで中東からアジア全域が驚愕した。
「有色人種が白色人種に勝つ」
これは奇跡でした。その後アジア、アフリカ各地で希望が生まれ、民族独立運動が広まっていったのでした。世界の価値観が転換したのです。当時はあり得ない事だったのです。まさにパラダイムシフト。

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バルチック艦隊航路