2018年開成中学校社会①より 近現代史 朝鮮併合②
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
突然ですが問題です。
朝鮮併合後の初代統監は誰？
１．伊藤博文２．寺内正毅３．山形有朋４．児玉源太郎
さて、日露戦争に勝った日本。東アジアでのロシア勢力を後退させます。そして朝鮮半島をどうするか？と考えたときに、韓国の政治家に統治能力がないため独立困難、日本に統治を任せる方が韓国人のためになるという結論をアメリカ、イギリスともに結論付けています。第二次日英同盟では日本が韓国を保護国にすることをイギリスも承認しました。アメリカとは桂・タフト協定で日米双方の韓国、フィリピン支配権を承認しました。現代的価値観としてはこんなんでいいのかな？とも思いますが、いったんこれで物理的な戦争が起きない環境が作られます。ここに事実上日英米同盟ができました。
ロシアとはポーツマス条約で韓国に対する日本の優越権を認め撤退しているので、相当な前進です（フランスも1907年日仏協約で同様の承認をしています）。下手すれば日本も植民地化されるような状況だったのに、ロシアの脅威をかなり抑えることができた。日本は欧米列強と対等な同盟関係を結べるようになりました。三国干渉の時とは段違いです。韓国とは第二次日韓協約を締結し、韓国軍の指揮権を有する行政府、統監府が設置され、伊藤博文が初代統監に就任しました。
一方韓国はオランダのハーグで開催された万国平和会議で日本支配を糾弾する密使を派遣。しかし外交権がないことを理由に相手にされませんでした。（ハーグ密使事件）。高宗がこの秘密外交を画策したのですが、国際的に露見して日本も王室を優遇していたのですがやめます。第三次日韓協約では内政権を日本に譲り、韓国軍は解散しました。第二次日韓協約までは、日本も欧米列強の植民地体制に対抗する立場として韓国に同情的だったのですが、「この国もう無理」と断行せざるを得なくなったのが現実です。
とどめは伊藤博文暗殺事件です。ロシア帝国のハルビン駅で伊藤博文が安重根（あんじゅうこん：アンジュコン）に暗殺されました。ロシアは関与を疑われたくないのですぐに日本と協調路線に転じました。伊藤博文は韓国を併合するのを否定していたんです。文官の彼は軍事拡張路線の山形有朋とも対立して軍拡を押さえていました。しかしそれができなくなりました。安重根は民族の英雄とされますが、自分でとどめを刺したようなものです。その後統監は武官の寺内正毅が就任します。
1910年朝鮮併合。李完用（りかんよう：イワンヨン）首相が条約締結しました。
その後、朝鮮総督府がやった政策を見てみましょう。
・身分解放
李氏朝鮮では姓を持たない奴婢、白丁が膨大にいました。奴隷状態の賤民ですね。中国・日本の古代律令制では白丁は「良民」という意味でしたが、朝鮮では両班・中人・常民という良民身分ができたので最下層身分を意味しました。これが戸籍に記載してあり差別を生んでいましたが削除。平等に教育を受けられるようになりました。
ちなみに日本が明治時代に四民平等になった時、江戸時代の穢多/非人は合わせて約1.5%（明治3年統計集誌より）に対し、李氏朝鮮は1858年で両班が48.6%、奴婢31.3%でした（！）ちなみに1690年段階では両班7.6%、常民51.2%でしたが、奴婢比率は約10％減、ほとんど常民が両班にシフトしています。お金で身分が買えるからですね。頑張って地位を買って両班になったんです。そして何もしないで搾取する非生産人口が50％！
これじゃもう、何も搾り取れない。。
・土地政策
測量と土地の所有権を確定しました。朝鮮総督府が摂取し農民に安値で払い下げました。韓国の研究では全体の10%程度の土地と言われています。これまで緩やかに土地所有していた零細自作農民が土地所有できなくなり没落したケースもありましたが、もともと李氏朝鮮時代は租税が高すぎて離村しまくり農地が荒廃。高利貸し、両班によって収奪されていました。日本が水防工事、利水工事、金融組合などを作った事で多大な利益を得る農民も出てきました。無事農耕ができ、蓄財もでき、共同体ができました。
・教育政策
小学校は統合直前は100校から4271校まで増加しました。
朝鮮語を必修科目としてハングルを学び、識字率は1910年の6%から1943年には22%に上昇しました。
答え 1．伊藤博文