2018年開成中学校社会①より 近現代史 朝鮮併合③

どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。

朝鮮併合。今日はまとめに入ります。
その前に問題です。
戦前朝鮮半島に水力発電所を作った企業が起こした公害は何でしょう?
1.水俣病2.四日市喘息3.イタイイタイ病4.第二水俣病

■朝鮮併合まとめ
 ここまで朝鮮併合の流れを見てきましたが、日本と対比してみてみましょう。
 正直日本も似たいような状況はありました。政権が変わり大混乱。牛肉食べたくない人もいたでしょう。仏教国、儒教を重んじてきたので肉食の習慣がないんです。(韓国は高麗時代から内実モンゴルになったので焼肉文化になっています)。維新志士もイギリス、徳川幕府もフランスとの協力関係がありました。
しかしその後の対応には大きな違いがありました。徳川慶喜は其々の勢力を助けているように見えるイギリス、フランスが、実は手を組み日本支配を狙っていることに気づきました。そのため自分達の立場や未来が亡くなったとしても、あるいは殺されたとしても、日本そのものの独立と内乱の終息、富国強兵を続け欧米列強に支配されない国を願いました。命懸けの決断です。普通「王は革命の生贄として殺される」のです。しかし日本は明治維新でも第二次世界大戦でもトップが死んでいない、稀有な国です。明治政府になって(幕末からですが)イギリスに自国資産を切売りしている輩もいますが、全体としては自浄作用が働き汚職は比較的少なく、富国強兵のために維新志士も、佐幕派もまとまって動いていきます。この辺りの時代の大局観を掴む感覚はみな持っていたのでしょう。これは知性(情報と判断力)の差であり、リーダーの覚悟の差だと思います。
 比較して朝鮮半島では、高宗&閔妃、大院君の両方とも自分の権力維持のために外国勢を招いて自国権益を切売りし、自国の反乱統治もできない状況となり、他国の軍隊が駐留する状態になりました。それでも自分の権益を守りたい朝鮮王室。ここが分かれ目立ったといえそうです。

また、当時の李氏朝鮮の社会を見てみましょう。人口に目を向けると、
1885年897万人
1891年788万人
と人口が減少しています。

1907年1167万人(朝鮮統監府調査・これまで奴婢が人口に入っていなかった)
1942年2553万人
と日本統治時代には2.2倍に人口が増えています。それだけ食料生産、死亡率の改善、医療改善、安全の確保ができたといえます。

李氏朝鮮時代は50%が非生産階級でした。このことを考えると日本が入っても収奪するものなどもともと何もなかった社会状況です。むしろ道路、水道など公共投資(日本の血税)を投資して社会を変えていきました。敢えて日本の収奪というならば、働かなかった両班が働かなくてはいけなくなったこと、それが収奪よりも自分の仕事による収入が少なかった差分を収奪と考えたのかもしれません(働かない人が人口の50%いましたから)。「過酷な労働をするようになった!」というのは、日本人基準では当時の普通な労働だったのではないでしょうか。収奪というのは、日本が投資した分のお金を回収したら収奪と言われていただけなのではと思います。インフラ投資のリターンが高そうか?でいうと、回収できずに現物資産が残っただけだと思います。
日本は朝鮮を植民地化するメリットはあったのか。差し迫るロシアの危機という地理的要因以外はあまりメリットはなさそうでした。
実際には、
①多大な税金を投入し、インフラ整備しました
②朝鮮は県と同じ行政区分でした(台湾は植民地扱い)
③朝鮮人から議員も将軍(少将)も出ていた
④朝鮮銀行は李朝王室と天皇家が出資し、通貨発行権があった

通貨発行権があること。これは言ってしまえば独立国としての機能を持っていたことを意味します。朝鮮人の将軍の指令の下日本兵が突入する。人数こそ多くないですが、日本人の生き死にを扱う立場の人もいました。

 投資の一例では、日本は現在の北朝鮮、鴨緑江支流に水豊(スプン)ダムを建設しました。日本は1937年から建設し、1941年に10万KW発電開始しました。1945年終戦時は60万KWの出力。計画では合計160万KWの7つのダムを建設する予定でした。完成時は東洋一の規模で、日本窒素肥料(後のチッソ)の野口遵の計画と出資で始まりました。戦争しているど真ん中の時期でも朝鮮に投資。電力なんて日本に持って帰れません。あくまで現地のためにしか使えず、平時であればずっと電力を供給できるので現地への貢献度は計り知れません。この計画は金正恩まで引き継がれていますが労働力不足により全体の完成は未だならず。現在も電力不足に悩まされています。
しかし日本の計画性に対する搾取と特権階級の収奪、という社会構造の違いは当時とあまり変わらないように思います。
朝鮮でも改革派はいましたが弾圧され自国で立ち上がれなかったのは、背景にこうした社会状況があったからだったといえそうです。

答え 1.水俣病
この会社はいろいろと因縁深いです。調べてみてください。
歴史に見せかけて現代トピック。環境系も出題されそうです。

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