2018年開成中学校社会① 近現代史 満州事変より
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
明治以降日本はずっと戦争とともにありました。
問題です。満州事変のきっかけとなった事件は?
1.天安門事件 2.上海事件 3.円明園事件 4.柳条湖事件
■満州事変
1931年満州事変が起きます。どういう経緯でしょうか。
次第に動機や初めのアクションが隠されていますが、わかる事実を繋げながら見ていきましょう。
中国大陸の情勢理解が重要なのですが、清朝が衰退していってから、「中国」というのは統一国家ではなく、軍閥が跋扈する群雄割拠の時代です。もともと清朝は満州族国家。北京以北の東北地方(満州)が拠点ですね。漢民族は北京より南方がもともとの土地なので、日本は満州と支那(現中国内部のエリアの線引きを表現しにくいので当時の呼称を用います。ちなみに当時中国人は自分達で支那と呼称していました。)で切り離し、権益を維持しつつ安全統治を試みます。
この流れが重要なのですが、清朝の衰退とともに中国国内で革命が起きます。
1911年辛亥革命では、清朝国内で革命軍が武力制圧し、15省が次々と独立宣言。(戦国時代ですね)上海で孫文が中華民国大総統に選出されます。
この時ラストエンペラー愛新覚羅溥儀が退位し、清朝が滅亡しました。
■孫文
孫文が提唱したのが三民主義です。民族、民権、民生の3つです。建国理念ですね。
彼は横浜中華街にいましたね。横浜は革命家、政治家をバンバン生み出した世界最強のチャイナタウンです。中国革命の活動母体はなぜか日本です。興中会、華興会、光復会などの団体が結集して、東京で中国同盟会が結成され、孫文が総理となりました。彼の「大アジア主義」演説はアジア独立を促す日本に対して、「西洋覇道の鷹犬となるか、あるいは東洋王道の干城となるか」と注意喚起し、東洋民族が一致団結して欧米と対抗していこうと連携を促しました。
辛亥革命で天下を取った孫文。しかし孫文は軍人の袁世凱に中華民国大総統を乗っ取られてしまいます。残念。革命未だならず!!
「俺は偉くなるから書には価値が出る」と言って揮毫(毛筆で言葉を書いて)し、革命資金をもらっていました。一つ間違うと詐欺師ですね笑 しかし「よく金を集め、よく散じる。これを英雄という」です。
彼は実際に中国革命の原動力となり、日本人にも国民党にも共産党にも人気があります。革命に対する熱意、想い、不思議な魅力があったのでしょう。ちなみに日本名は中山さん。中国に行くと中山公園、中山路など地名が各地にありますが、孫文に由来します。
■対華21ヶ条要求
この頃ヨーロッパでは第1次世界大戦をやってました。そのすきを狙って日本はドイツ権益だった山東省を奪取します。これに対して大隈重信(早稲田大学創設者)が対華21か条要求を袁世凱に突きつけます。
内容は何かというと、「ドイツから奪った山東省の権益認めてね。南満州&東蒙古は日本のもの」という内容です。
これは非常にまずいアクションでした。日中関係が悪化し、先の孫文の「日本は西洋覇道の真似をして帝国主義をやるのか?」という疑問を持たれます。また、欧州が第1次世界大戦で忙しい中、火事場泥棒的に中国市場を奪っていく日本に反感を持ちます。日本人の民間人も多く支援した中国革命。そこで成立した政権に対していきなり植民地化みたいなことを言うから冷めてしまいますね。
この辺り、日本が民間・政府・軍部で医師がバラバラになっていっているところです。
実際には日本は東北を中心に権益を強めていきました。東三省という地域の支配力を強めていったのですが、中華民国が結成され、また分裂し内戦状態になったため、張作霖が日本の後押しもあり奉天軍閥を形成して実効支配しました。
1931年に柳条湖事件が勃発し、結果的に日本の関東軍によって満州全土が占領されました。この柳条湖事件、南満鉄の鉄道が爆発されたという事件がありました。爆発直後に長春発大連行き急行列車が問題なく通過したことからも、爆発が極めて小規模だったことが分かっており、運航に支障のない範囲での爆発を演出した点で実際は日本軍の自作自演説が濃厚です。
中華民国が成立し、日本は国交を結びましたが、一方で満州族の民族自決に基づく五族協和と王道楽土を目指した満州国を1931年に建国しました。1911年辛亥革命で清朝が滅んでから20年。愛新覚羅溥儀は皇帝として復帰しました。
日本の中国での動向を知る上で、当時の内乱状況が重要です。現代の中国と同じで考えると訳が分からなくなります。日満関係、日支関係を分けつつ、覇権を取ろうとしていた北洋軍閥、漢民族の中華国家を作ろうとした孫文達とのせめぎ合い、そして地域を問わず民衆の中に浸透していった共産党八路軍。日本がどこと連携し、対立していったのかがわかると整理しやすいです。

答え 4.柳条湖事件
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