2018年開成中学校社会①より 近現代史 国民党と共産党
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
今日は国民党と共産党の関係について。
もうこのまま現在の中国と台湾の関係に繋がっちゃいます。
ついでにミャンマーも笑
近現代中国で重要なのが国民党と共産党の関係です。これは現代の台湾(国民党)と中国大陸(共産党)の関係でも重要トピックです。この周辺は試験で狙われると思います。
大枠は既に出てきていますが、2つの中国という状態は現在も続いています。
前述の根本博中将も絡めながら、国共内戦から振り返ってみましょう。
根本中将は日本の敗戦時はモンゴルでソ連軍と戦い、(降伏後も条約違反で攻めてきたため)八路軍(共産党軍をこう呼びました)と戦い、ソ連軍を戦意喪失させ、在留邦人4万人を救いました。当時日本人は軍人・軍属・一般市民合わせて600万人いました。彼は国民党軍と連絡を取り、10年かかると言われた引き上げを10カ月で完了しました。蒋介石は日本軍の引き上げに協力的で、自国の軍隊の輸送を最優先すべきところを日本人輸送に割り当ててくれました。「あとのことは中国内で解決する」という思いでしょうか。イキですね。中国革命の頃から関わってきた日本人は多数いたため、本当は蒋介石軍に入っても協力したい人はいたと思います。しかしそれでは戦後日本が多大な迷惑と混乱を引き継ぐことになる。勝ったり負けたり裏切ったり助けたり。本当に複雑です。(ちなみに共産党空軍設立には日本人が関わっています。)
日本が引き揚げたつつ、国共内戦が始まります。もともと仲の悪かった中国共産党と国民党の戦いです。中華統一を果たすまでは戦いは終わらない。結果的に日本軍の武器を手に入れた共産党が勝利するのですが、なぜ共産党は台湾まで攻めなかったのか。本来ならば再起不能な状態にして統一を果たすべきです。しかし共産化できない地域として香港と台湾が残ってしまいました。
■金門島の戦い
共産党は蒋介石率いる国民党を海岸の厦門(アモイ)まで追い詰めていきます。情勢は決定的で、国民党は滅亡寸前です。満州から日本に帰っていた根本中将。単身台湾に渡ります。渡ります、と簡単に言いましたが、当時日本人は例外を除いて海外渡航禁止。米軍GHQが戒厳令を敷いている上、軍人将校は戦犯扱いで謹慎の身分。海にも米国艦隊がうろうろ。アメリカの眼が光る中台湾渡海など至難の業です。そんな中、彼は家族に「魚釣りに行ってくる」と言ったきり、釣り竿を持ってぷらりとどこかに行ってしまいました。彼を手引きしたのが明石元二郎大佐の息子。明石大佐は台湾の地に多大な影響力を持っていました。
彼は中国人「林保源」を名乗り、台湾から厦門に向かいました。根本中将が着くと国民党幹部は驚愕します。「先生!!」
もはや滅亡寸前の敗戦の土地にどうやって現れたのか。辿り着くだけで死にそうになる事は十分想像できます。釣竿持ってぷらりと現れた中国語を話す謎の日本人。彼は素性を一部しか知られない状態で第5軍管区司令官顧問、中将に任命されます。日本軍中将にして国民党軍中将。こないだまで敵と戦っていた国の、です。彼は軍師として軍略を立てます。まず厦門を放棄。金門島で水際作戦で戦うとともに共産党軍をやぶり、台北に凱旋します。日本の伝統的な水際作戦。蒙古襲来から現代に至ります。軍略を見ると日本もリムランドですね。
こうして「中国共産党統治による中華人民共和国」と、「国民党支配による台湾」という2つの中国が生まれました。
これは複数の重要な意味があります。
・国民党軍と日本軍は戦時中も裏で信頼関係で繋がっていた。
・国民党を支援し守る事が、台湾を守ることになる
・当時共産党勢力を防ぐ必要があったが、台湾が防波堤となった
・日本は石油資源を中東に依存しており、台湾を失うとシーレーンが確保できなくなり、日本は戦後中国にエネルギー面で生殺与奪権を握られる。
シーレーンというのは石油など中東から日本へエネルギーを運ぶ海のルートです。ここが日本にとっての生命線なんです。更には南沙諸島を中心とする海洋の自由が失われると貿易の輸出入コストが膨大に膨れ上がる。エネルギーと貿易問題に直結し、日本の生命線に関わります。現代の中国問題も肝はここです。
ちなみに台湾には本省人(日本統治下以前からの台湾人)と外省人(国民党以降大陸から来た人達)がいます。彼らは言語もアイデンティティが別となっており、戦後白色テロが勃発。双方「君が代」と「北京語」で判断していました。蒋介石、蒋経国の国民党政府以降、李登輝が本省人の政府を取り戻しました。現在では大陸の介入で台湾の帰属が問題となっています。
蛇足ですが、蒋介石は重慶からビルマ(現ミャンマー)に援将ルートを持っていました。ここではエネルギー補給路の役割を果たしていましたが、現在でもビルマー台湾―日本を繋ぐルートがあります。
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