平成29年度渋幕中学校1次社会②より 貨幣問題⑤ 贋金
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問題です。
室町幕府がたびたび出していた、使える貨幣をより分けるのを禁止した法律をなんというでしょうか。
室町時代前後、商品経済の発達にともなって貨幣の流通が増えて税の銭納化も進みました。従来の宋銭に加えて明銭が使われていましたが、その一方で悪質な私鋳銭や粗悪な渡来銭も流通していました。こうした悪銭を嫌ったため、良銭を選ぶ撰銭(えりぜに)が行われ、円滑な流通が阻害されていました。
これってなかなか取り扱いが難しいですよね。流通している銭に質の悪い私鋳銭や渡来銭が混じったらどうなるか。1,000円って言われて100円玉で支払ったとき、100ウォン玉(韓国の通貨。100円に似ています)が混じっていたらどうですか?「100円玉と似ているけどなにこれ?これって100円の価値あるの?30円の価値じゃない?レートいくら?というか使えるの?もらっても無価値じゃない?」となります。
受け取った方は選り分けたくなりますよね笑 こうした貨幣の状況だったので、たびたびトラブルが発生しています。ちなみに「ビタ1文まけられない」のビタは粗悪な銭の事でびた銭と呼ばれました笑
この状況を踏まえ、室町幕府は銭を選り分けるを禁じました。売買に支障が出るので、無制限に撰銭するんじゃないよ、という貨幣流通量を増大させる法令を出しました。ちなみに戦国大名や織田信長も発令しており、細かい違いがあります。いずれにしろ国を豊かにするためには物を交換する交易量を増やす必要があります。止まったら大変。通貨流通は政府の信用度のバロメーターです。
この政策はいい面、悪い面がありますね。「流通を止めるな!」というのもよくわかります。しかし「偽札や価値のない(どこかで余っている通貨など)物が価値あるものとして流通したら、流通させてる人がぼろ儲けじゃん」「勝手に作って流通させていいなら簡単に儲かるのでは?」という問題もあります。信用がないものをどう信用するのか。させるのか。
これが通貨の本質です。1万円札もその価値を信じているから1万円のものが買えるのであって、信用がなければ福沢諭吉が書かれた紙切れです。
日本では平安以降自国で貨幣鋳造していませんでしたが、江戸時代になってこの状況が止まりました。江戸幕府は永楽通宝の使用を禁止し、特定の悪銭を除く努力をしましたが撰銭は続きます。最終的には江戸幕府が寛永通宝が需要を満たすようになってから、ようやく撰銭は行われなくなりました。
答え:撰銭令
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