2018年豊島岡中学校第１回社会より 空海③ 日本の仏教まとめ
どうも。歴旅です。
今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家の社会を楽しく学びましょう。
前回は仏教の世界的な旅を見てきましたが、今回は日本の仏教を見てみましょう。
もともと技術や知的教養、政治、天文学などの世界を知ること、統治することを目的として取り入れた仏教ですが、日本には定着したんでしょうか？
ざっくり日本の仏教の変遷を旅してみましょう。
イスラム教やキリスト教は結構土着の信仰を否定して戦争を伴いながら侵攻していって広まった。
侵攻して信仰させています。
しかし日本は色々議論しながら仏教を自主的に取り入れています。当初からどのような流れで何を受容してきたのか見てみましょう。
■まじない仏教から禅まで
もともとはスーパーマンのお坊さんがいいことしてくれるっていうので取り込んだ仏教。
やれるかどうかは別として、一番初めの仏教はもはやおまじない仏教でした。
念じれば鬼神に通じる。呪いかけられる。呪い返しできる。
こういう仏教を雑密(ぞうみつ)といいます。
日本に来た段階で大乗仏教なんですが、やっぱりはじめは鎮護国家の仏教なんですね。国のトップを守る。世の中が落ち着くように祈祷する。
そんなことしていたんですが、天然痘ははやるわ、日照りに洪水は起きるわで、奈良時代の日本は大変でした。バタバタ死んでいくのに誰も助けられない。
そうこうしているうちに、律令体制で作った戸籍、税制制度などの国の支配を逃れる人たちが出てきました。出家すれば免除される。ということから、自分で勝手に出家してお坊さんになります。
私度僧（しどそう）と言います。
当時は国のお墨付きがないと坊さんになれなかったんですね。しかし、坊さんになれれば税金を払わなくてよくなる、ということもあって、農民が夜逃げしてどんどん坊さんにジョブチェンジしていきます。髪の生えたままの毛坊主、乞食坊主と化していきます。目的は脱税笑
もう田んぼ耕して年貢とか納めてらんないよ！
葬式お祈りして食っていくわ。となるのです。
ちなみに最澄は国のお墨付きをもらったえらい坊主で、空海（やっと出てきた笑）は私度僧です。
こうして坊さんが増えていくのですが、課題だらけでした。
そんな中、お隣の唐では｜玄奘《げんじょう》（三蔵法師ですね）というお坊さんがインドに旅してすごい経典をたくさん持って来たらしいぞ！？
すごいのが最近大陸で学べるらしいじゃん。それを学ぼう！
ということで遣唐使船を使って学びに行くのでした。
お経に書いてあるじゃん。オープンソースの知の体系だよ！研究しよう！とするのが顕教（けんぎょう）。
いやいや、お経ももちろんだけど、文研研究でわかる事って現実では使えないよね。体使って呪文唱えてできる秘奥義があるんだよ！とするのが密教です。
そんなこんなするのですが、結局仏教はトップエリートのためのものでしかなく、一般大衆は相変わらずバタバタ死んでいく状況でした。
鎌倉時代になって、また中国大陸から学んできた人達が大衆向けの仏教をやり始めます。
・念仏唱えたらGO TO HEAVEN！！
・踊り狂ったらGO TO HEAVEN！！
・言いたいことは南無妙法蓮華経だけだ！みんなシャウトしろ！
というパンクなムーブメントが起きてきます笑
浄土宗、浄土真宗、日蓮宗などです。
これらは共通して、
・シンプルで簡単
・絶対他力。人間1人の力なんてたかが知れている。
だから神様に全部ゆだねきったらGO TO HEAVEN。
という特徴を持っています。
しかし日本には侍という人々がおりまして。
「全部他人任せなんていやでござる。もともと戦争、殺生が仕事のサムライ業務では地獄にしかいけないのか。。
それも嫌でござる。自力で修業を積むにはどうするのがよいのか。。ひたすら座禅でも組むか」
只管打坐（しかんたざ）、ひたすら座禅を組んで修行するスタイルです。
人を切りまくっている侍達は極楽からは程遠い生き方をしていますが、自力で精神統一、座禅に打ち込むことによって救われようとします。
ちなみに只管って、現代中国語でも「ひたすら」っていう意味です。
昭和初期に
「日本の思想は浄土宗と禅だ」
といったのは鈴木大拙という人ですが、浄土宗も禅も中国から来ています。
この辺りが不思議なのですが、日本は海外がオリジナルなものだらけなのに、取り入れた後全部ジャパナイズしていきます。悪いところは捨て、いいところだけを取り、実践していく。
気がついたら本家本元にはその思想は衰退してほぼ無くなってるんです。そんなわけで日本は東洋思想の全ての宝庫となっています。
これがおおざっぱな日本に存在している仏教シリーズです。
雑密→顕教→密教→鎌倉仏教（浄土宗）→禅
そろそろ空海の話に入りたいですね笑
でももう1回くらいかかるかも笑