思考問題 どうする幕末⑥
どうも。歴旅です。今日もぶらりと歴史旅。
中学受験、御三家レベルの社会を楽しく学びましょう。
本日シリーズ最後です。
それでは問3です。
問3.維新政府軍は何のために戦争を起こしたでしょうか。
文中の有無を問わず回答してください。
難問ですね。
なぜ戦争するか?平和であることに越したことはありません。
特に幕末は海外からの植民地からの圧力があった中、国内内戦で疲弊している場合ではないというのが正直なところです。
イギリスの植民地化の手法をインドの事例で考えてみましょう。
①ムガール帝国(インド)は皇帝がいたとはいえ実質は藩王国で地域ごとにバラバラで別の藩王がいた。
②其々と商取引を行い武器を輸出し、綿花や貴重な産品を入手した。
③下層民から反乱を起こさせ、更に近隣の国と紛争を起こさせ、双方に武器を売り稼いだ。
④武器の流通量で戦争の推移をコントロールし、資金の貸付による利子、負けた国からの取り立て、利益を得つつ、最終的に軍事力で全体を支配。
大雑把にいうと上の流れになります。
どこかの状況と似ていますね。
日本のお隣、清国でも太平天国の乱が起きました。
明治維新と軌を一にしています。
これに乗ってしまうとどういうことが起こるでしょうか。
①恨みを晴らすために戦争準備をする。
②武器を買うために借金をする(多額の金額を支払って武器を買い付ける)
③戦争を起こす。相手国から利益を分捕る。
④一部の人間は豊かになるが分け前の多くがイギリスに流出する。
⑤日本国内がどちらも疲弊し、対外的に戦う能力を失う。
⑥更に国内で恨みがあるので一枚岩で戦うことはできない。
ざっとこうしたことが起きますが、これはイギリスの狙い通りですね。
現在も仕組みとしては同じことをしているでしょう。
徳川慶喜は逃げた、と言われますが、当時大局観を持ち、目の前の危機に対応しながらこうした視座で見えていた人間は稀有だと思います。日本国内で争っている場合ではない。戦争は止めなければならない。自分が勝ってもいずれ侵略される。これが見えていたのでしょう。
一方大義名分を失っているのに戦争を仕掛ける側は何が目的になるでしょうか。
当面必要なことは借金返済。失ったお金を取り戻す利益の確保。
これができないと借金のカタに国の資産を押さえられます。
そのためには、
・買い付けた武器の使用し、
・戦争で利益を分捕る(金銀資産、土地、利権など)
・戦後新体制の主導権を握る
こうした切口で書ければよいかと思います。
ウクライナを皮切りに有事が身近に迫ってきました。
類する出題はありそうですね。
幕末から明治、現代まで因果関係は繋がっています。
答え:
問3.薩摩、長州ら維新政府軍は国内戦争に備えイギリスから最新式の武器弾薬を購入した。大政奉還により徳川幕府を倒す大義名分がなくなっても、国の政策決定の中心に徳川氏がいると新政権を牛耳れず、新しい土地や利益も得られない状況となる。武器を購入した費用も無駄になるため、戦争することで土地、利益、爵位が必要になった。また、抜本的改革を進めるためにも旧勢力の排除が必要だった。
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